Whistle Life

食と農の話題を中心に、日々の雑感をつづります。

農業

映画 火垂るの墓にみる食と農の表現

前回は、火垂るの墓の全体的な感想をお伝えしました。 この映画の中で、困窮する清太に農家が食料を分けてくれないというシーンがあります。 子供の頃、鑑賞したときには、その寛容の無さに、農家に対する怒りすら感じていました。 戦時中の農家は、目の前の…

高畑勲監督追悼 大人になってからみると10倍面白い火垂るの墓

火垂るの墓見ました。 子供の頃に見て、重いテーマでもあり、それ以降はなんとなく敬遠していた作品でした。 ”戦争が生んだ悲劇の物語”という以上に意味を感じず、むしろドヨーンとテンションが低くなるだけの映画、という認識が一度見たときにコビりついて…

美味しんぼ 17巻 感想レポート

美味しんぼ17巻の感想レポートをお送りします。 17巻は、これまで以上に海原雄山との対決、究極vs至高が描かれます。 いずれのエピソードも、これまでにあったような人情系のエピソードから海原雄山との対決に発展します。 新聞を通じた対決の枠組みが出来て…

《農政ウォッチ》八丁味噌の事例から考える地理的保護制度GIの限界3

これまで八丁味噌の地理的表示保護制度(GI)をめぐる問題について解説してきました。地域の伝統的な産品を扱うことの難しさがあると考えます。 「本場という概念」 伝統的な産品ということはそこには歴史があり,発祥の地があるということにな ります。今回…

《農政ウォッチ》八丁味噌の事例から考える地理的保護制度GIの限界2

前回は、八丁味噌の騒動を切り口に地理的表示保護制度とは何かについて記事にしました。 今回は八丁味噌の騒動では一体何が起こっているのか見てみましょう。 八丁味噌で地理的表示保護制度(GI)登録申請した二つの組合 八丁味噌を製造する業者で組織された…

《農政ウォッチ》八丁味噌の事例から考える地理的保護制度の限界1

八丁味噌の衝撃 味噌かつ,味噌煮込みうどん,名古屋めしの中心食材として有名な「八丁味噌」この八丁味噌を巡って衝撃の事態が起きています。 それは国が,平成26年度より進めている地理的表示保護制度において,「八丁味噌」が認証されたのですが,その…

食農映画の傑作 リトル・フォレスト

このブログでは、映画における食農表現に着目して記事にしてきました。映画の中でどのように、食や農が表現されているか。映画のジャンルやテーマに問わず、時には映画のワンシーンのみでの紹介の時もあったと思います。 今回紹介する映画は、映画における食…

《漫画にみる食と農》美味しんぼ 14巻レポート 政治と食の関わり、主張が表現が特徴

美味しんぼ 14巻の感想レポートです。 今回は、ほとんど1話完結のスタイルに戻りますが、激闘鯨合戦に見られた政治をテーマにした内容がやや増えてきたように感じます。 グルメ漫画で特定の政治的主張を行うのは賢明なことかは分かりませんが、 時に食と政治…

《映画にみる食と農》オデッセイ

救荒作物。 飢饉や災害、戦争に備えて備蓄、利用される代用食物のことです。 代表例としては、ジャガイモなどが挙げられます。ヨーロッパなどの飢饉を救ってきた実績があります。 しかしながら、飽食の時代と言われているこの現代において、救荒作物にお世話…

TBSラジオ session22 原発事故が引き起こした食の分断をどう乗り越えるのか?がこれからの生産者と消費者の関係を考える神回でした。

TBSラジオで毎週夜22時から放送されている荻上チキのsession22。 【音声配信】特集「東日本大震災からまもなく7年。原発事故が引き起こした「食」をめぐる分断をいかに乗り越えるか」2018年3月8日(木)五十嵐泰正×藤田浩志×小松理虔×荻上チキ(TBSラジオ「…

Netflix シェフのテーブル 男の浪漫溢れるパタゴニアの料理家

最高峰の料理人の仕事や料理哲学を追求するNetflixドキュメンタリーシリーズの「シェフのテーブル」。 第3話はパタゴニアの料理家フランシス・マルマンです。 フランシスの料理シーンは異様な雰囲気で、観るものに強烈な印象を与えるでしょう。 一言で言え…

Netflix シェフのテーブル 料理を通じて食や農の未来を語るダン バーバー

世界最高峰の料理人の料理哲学を追うNetflixのオリジナルドキュメンタリーシリーズ 「シェフのテーブル」。 第2話の主人公は、ニューヨークのレストラン「ブルーヒル」及び農場と直結したレストラン「ブルーヒル•ストーンバーンズ」のシェフであり、農場経営…

《映画にみる食と農》フィルムノワールの傑作!チャイナタウン

今回紹介するのは、「チャイナタウン」 少し古い映画を紹介します。 1974年 131分 アメリカ のフィルム・ノワールの傑作です。 監督はロマン・ポランスキー、ジャック・ニコルソン主演。 ロサンゼルスを舞台に、主人公である私立探偵ジェイク・ギテス…

京野菜存亡の危機、救ったのは若手料理人たちの熱い思いでした

前回は,京野菜の魅力をつくったさまざまな歴史や理由について,みてきました。そこには京都の気候・風土・文化,都市と農家の交流,京料理の発展に裏打ちされた確かな品質がみてとれました。しかしながら,そんな京野菜も実は一度存亡の危機を迎えていたこ…

京野菜が美味しい理由、その歴史と背景に迫る。

賀茂なす,九条ねぎ,堀川ごぼう。古都京都を代表する食材として有名な京野菜です。 京野菜は京料理に欠かせないものとなっていますが,何がそのブランド価値を 高めてきたのでしょうか?今回は京野菜のブランドのなりたちを紹介したいと思います。 京野菜の…

《映画にみる食と農》ヘンテコだけど語るべき魅力も多い怪作 ウルトラミラクルラブストーリー

映画にみる食と農シリーズ。今回は主人公の役どころが農家ということで,「ウルトラミラクルラブストーリー」を視聴しました。 タイトルの感じからしてあまり、農っぽくありませんが、農業の現場ならではのシーンが満載の農業映画 でもあると思います。 非常…

《農政ウォッチ》減反廃止の影響はいかに どんな農家も経営感覚が求められる時代に?

NHKで今年から開始される減反廃止の影響が限定的であると記事になっています。 www3.nhk.or.jp 減反廃止影響無い理由記事の中でもいくつか理由が提示されています。たとえば,主食用米以外の飼料用米を作ったらもらえる補助金制度。これは補助金制度を活用し…

《映画にみる食と農》情熱に圧倒。築地ワンダーランド

ワンダーランドな築地映画 今回紹介するのは、築地市場とそこで働く人々に焦点を当てたドキュメンタリー「築地ワンダーランド」です。開設後80年以上にもなり、日本の魚食文化の拠点とも言える築地市場を、1年以上に渡り密着取材した1作です。 以前にこ…

《農政ウォッチ》政府が卸売市場の民営化を提言。公設市場の役割とは?

規制改革の的となった公設卸売市場 政府の規制改革会議が卸売市場法に関する様々な規制を撤廃することを提言しました。 www.nikkei.com 現在、大きな卸売市場の開設主体は都道府県や自治体に限られていますが,そこを 民営可能な形で開設することができるよ…

《映画にみる食と農》巧みに取材された農村のリアル!細田守の感動大作おおかみこどもの雨と雪

見終わった後、じーんといつまでも心に余韻が残り続ける大傑作です。 今をときめく細田守監督の感動作です。 しかしながら実はこの映画、ものすごく絶妙なバランスの映画です。 一歩間違えれば完全にキレイゴト映画ですし、この映画に対する批判の多くはそう…

《映画にみる食と農》前向きでロードムービーのような社会派ドキュメンタリー「TOMORROW パーマネントライフを探して」

前向きでロードムービーのような社会派ドキュメンタリー 気候変動、人口爆発、グローバリゼーション。 私たちの地球環境を取り巻く状況はよいとは言えない。 21人の科学者グループが、2012年に科学誌「ネイチャー」に将来に対して悲観的な予測を立てました。…

《料理奮闘記》東北の食文化芋煮と里芋のこと

里芋って美味しいですよねー。 秋冬野菜の中でも、個人的には特に好きな野菜です。 里芋が割とたくさん手に入ったので、里芋の煮ころがしと、東北とりわけ山形の食文化、芋煮を作りました。 芋煮といえば、川原で大鍋で作るイメージですが、今回は家で。 (…

《映画に見る食農表現》サイドウェイ、ワインづくりは人生そのもの

今回ご紹介する映画は「サイドウェイ」 2004年公開のアメリカ映画です。 人生期の黄金期を過ぎた、さえない中年男性二人による寄り道(サイドウェイ)ロードムービー。 学校の先生をしながら小説家を目指しているバツイチ・マイルス、友人ジャックの結婚…

《料理奮闘記》イタリアン筑前煮?で寒波を乗り切る!

何だか久しぶりにラタトューユ的なものを食べたくなりました。 でも今は冬。 冬どころか強烈な寒波です。我が家になすはおろか、ズッキーニなんてあるはずありません。。 あるのは、寒波予報で3日間分の備えをと言われて、大量に買い込んだ根菜類。 里芋、…

《農政ウォッチ》農政新時代は新しいのか

昨年のTPP大筋合意、そしてそれに続く小泉進次郎の自民党農林部会長への抜擢からのTPP関連政策大綱が取りまとめられたのは、記憶に新しいところです。 そしてまとめられた大綱を基に、 農政新時代〜努力が報われる農林水産業の実現に向けて〜と銘打ち、農林…

《農業雑感》これからの「小農」のカタチ − 東北食べる通信から考える ー

国の施策で無視された小農 ここ数年、「攻めの農業」という言葉を良く聞きます。 この攻めの農業ってなんなのでしょうか? 国の施策レベルでいうと、農地の集約による大規模化や輸出といった経営体の改善の話であったり、IT化やロボット技術といった施設園芸…

《園芸コラム》完熟のルール

猛暑が過ぎ、夏野菜も終わりに近づいてきました。 さて、夏野菜をご家庭で育てている方にはご存知の方も多いと思いますが、トマトやとうがらしなどの夏の果菜類は8月くらいの真夏になると、実が大きくなる前に赤くなってしまうことがあります。 これは一体…

《農政ウォッチ》衣食住の自給率〜なぜ食糧自給率だけが問題となるか〜

日本の食糧自給率は39%(カロリーベース)。 農林水産省/平成26年度食料自給率等について もはやこの業界の人でなくてもこの数字は知っている人も多いのではないでしょうか?そして、自給率をもとに「日本の食が危ない」というようなことが一般的には言わ…

鹿ヶ谷かぼちゃ供養に行ってきました。

京野菜と寺社仏閣のつながりというのは深く、京野菜に関する伝統行事は少なくありません。 今回はそのなかでも、そこまでメジャーではないけど、個性豊かな、左京区鹿ヶ谷にある安楽寺で行われる鹿ヶ谷かぼちゃ供養に行ってきたので、報告したいと思います。…

<園芸コラム>ナスの日焼けーなぜナスは黒紫色になる?

さて、先日はボケナスについて説明しましたが、今回もナスネタで行きたいと思います。 ボケナスのわけ - Whistle Lifemqchaso.hatenablog.com 「ボケナスのわけ」では主に色のくすみについて説明しましたが、今回はそもそもナスにどうやって色がつくかという…