三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

市民農園の話

今日は仕事で関わっている市民農園の話。 市民農園ってなにかといいますと、市民が誰でも農作業を体験できる農園で貸し農園って言ったりします。 農地を10-50平米くらいで区画割りして、そこを入園者が自由に農作業を楽しめます。 と非常にざっくり言いましたが、近年この市民農園に注目が集まっています。 その理由は、農地を所有する農家と市民、双方のニーズがマッチしているからといえるでしょう。 さて、そのニーズとはいったいなにかといいますと、、、。 ・農家にとって 高齢化に伴い農地の管理が厳しくなってきた。(農地はほっとく荒れます) ・市民にとって 週末ファーマーという言葉がはやっているように、農業や田舎暮らしなどへの都市住民からのニーズの高まり。 そんな感じです。 というわけで今後も市民農園というのが増えていくことは間違いないのですが,実は市民農園の形態というのが少し複雑でやっかいなものになっています。    ここで少し日本における市民農園の歴史を振り返りたいと思います。       先ほど上で紹介した市民農園の説明の中でさらっと書いた「貸農園」という言葉。これがなかなか難しい問題を持っています。実は農地法によると,農地の貸し借りというのは勝手にしてはいけ ないことになっています。農地を貸したり借りたりするには農業委員会の許可が必要なのです。しかも貸し借りには面積要件があります。地域によりますが,通常農地は30a以上でないと農家以外の人に貸したりすることができません。     というわけで,小面積での区画の貸出を行う市民農園の開設は結構ハードルが高いものでした。     しかしながら今まで述べたようなことは,あくまで法律上の話。実際には上に挙げた市民・農家双方のニーズの高まりから,勝手にいわゆるヤミで市民農園を行うケースが増えました。そういった実情に応えるため,農水省は1970-80年代の通達により「入園契約方式」という考え方 を打ちだしました。これは農地の貸出でなく,入園者が土地所有者と契約を結んで農業の一部を体験し,農業経営者はあくまで土地所有者にあるという位置づけで市民農園のあり方を整理したのです。     それでもやっぱり実態としては,栽培は入園者に任せて所有者はその土地は自身はほったらかし,というような実態として区画貸しの農園も存在していました。そこで今度は「特定農地貸付法」という法律を整備し,上に述べた小面積での区画の貸出を行う市民農園を開設するための法律が整備されたのです。       しかし僕個人の意見としては,個人の市民農園開設による特定農地貸付というのはやはりハードルが高いと思っています。 それは 1.法律での開設の手続きが個人の農家が行うには面倒。 2.市街化区域においては貸付を行うと農地の相続税納税猶予が適用されなくなってしまう。 の二つの理由によるかな,と思います。 以上だいぶざっくり説明してしまいましたが,市民農園というのはなかなか複雑な面を持ってい ます。 いや,個人的には複雑にしているのはいろんな法律上の問題だと思っています。農地法をはじめとする関連法が,市民農園に対するニーズの高まりに対する実情に合ってないのではないか,と思うのです。