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Whistle Life

食と農の話題を中心に、日々の雑感をつづります。

農協の地域独占について

 昨年の選挙では、日本維新の会みんなの党が農業政策を語る際に、強い農業をつくるためには農協の地域独占を変えていく、ということを主張していました。

 さて、農協の地域独占とはいったいなんなのでしょうか。大きく批判されているのは、主に次の2点です。①農協の独立禁止法の適用除外、②一地域一JAの原則。

 

 ① 農協の独立禁止法の適用除外

 

 独立禁止法とは、公正で自由な競争を促進するために、私的独占や不当な取引を禁止するものです。実は、農家が共同で農産物を生産、販売したり、資材を共同購入したりすることは、独禁法違反になります。しかしながら、農協においては、これらの活動は独禁法の適用の除外になります。というのは、農協というのは組合であり、大企業に対して交渉力・競争力の弱い小規模事業者である農家の相互扶助を目的としているためです。農協以外にも生協などが適用除外を受けているようです。

 そういう意味では、農協の独立禁止法の適用除外もいたしかたない、と頷けます。しかしながら批判を受けているのは、各地域に存在する単位農協だけでなく、都道府県レベルの農協の連合会や全農という全国組織まで適用除外をうけていることです。

 実際にJA連合会の肥料の市場の販売シェアは80%弱であり、大手の肥料メーカーよりも農協の方が市場を支配しているのです。こうしたことは、「商社は農村には入ってこれない」という言葉によく現れています。

 

 

 

 ② 一地域一JAの原則

 

 これはひとつの地域にひとつの農協というのが原則で、新たに設立しようとすると都道府県のJA組織の事前協議が必要になるというものです。組合組織なのに自由に設立するのは確かに問題ですが、これに対する批判で少し違和感を感じるものも多いです。例えば、農協の地域独占を電力会社の地域独占になぞらえて、競争性が無いというものです。これはむしろ違って農協の場合においては産地間競争というものがあります。同じ野菜でも産地での競争に負けてしまうと市場で買い叩かれてしまいます。その競争は各農協間での取り組みによったりするので、そういう意味で競争性が無いというのは当てはまらないと思います。

また、複数の農協が顧客である農家を奪い合うような競争性が働くと農協のサービス向上につながる、という意見もありましたが、これは農協にたいする認識が違うように感じます。農協は組合員による相互扶助が目的なので、そもそも農協の顧客=農家という図式があてはまらないように思うのです。

 ただ、こうした批判には違和感を感じても、やはり農協が、自由な設立環境にないのには問題があります。ヨーロッパにも農協はありますが、米の農協、畜産の農協などある作物に特化した専門農協がほとんどで、同一地区で複数専門農協があります。日本の農協の悪いところは、「扱わないのはパチンコと風俗」と言われるほど、何でも屋なところです。実際農協の利益はほとんど営農関係ではなく、金融部門です。その何でも屋なところが農協の顧客=農家という図式イメージを定着させているのではないでしょうか。

 

 まとめると、①も②も制度的には理に適っているといえますが、農協が、相互扶助という本来の存在意義を超えて、組織として非常に肥大化してしまっているところが問題なのではないかと考えています。