評判とは聞いていたのですが、重そうなのでなんとなく敬遠してました本作ですが、先日ようやく見ましたが、なかなかの見ごたえでした。
まず時間的にもかなり長めの上映時間なのですが、ほとんど中だるみなく、テンポ良く観れました。編集のテンポが良かったのでしょうか、結構感傷的なシーンも淡々とわりと進むのが逆にリアルで良かったです。感覚としては本当にドキュメンタリーを観てる気分で刑事裁判のことも本当に勉強になりました。
あのリアルな裁判シーンもよくできているなぁ、と思いました。それぞれの証人の証言や裁判官が変わるだけで、形勢が変わっていく感じが良くできていて自分すらも本当は主人公が犯人の可能性もあるのでは?と思ったほどでした。というか、あの裁判傍聴オタクが「本当はやったの?」と声かけるシーンがある種、私自身を代弁しているようでハっとさせられたわけです。
基本的には主人公への感情移入のしやすさ具合が最高なのですが、と同時に主人公に対する距離感というか、うまく説明できないけど、客観的であろうとするとゆうか中立であるというか、とにかくどの人物に対しても一定の距離感を保っている感じがとても良かったです。被害者である女子中学生も裁判官も、変に主人公を貶めようとするわけではなく、全うに職務を果たしている人としての側面が描かれている(ただしあの警官どもは言語道断ですが。ただし、本当の犯罪者もたくさんいるわけなのであのような姿勢になっていくのも分からないでもないというか)そしてそのスタンスのおかげで、最後の判決なんかは妙に納得させられてしまう部分もあるのだと思います。
一方で、だからこそ誠実だし、問題が深刻化しているし、そこはとても無力感を感じるところです。