しかしながら最近はこの猟師の減少・高齢化が問題となっています。近年、野生動物による市民生活への被害(住環境への侵入)、農作物への被害が深刻となっており、対策は急務です。それまで猟師さんによる狩猟活動がその被害抑止になっていたのですが、高齢化やそれによる担い手の減少によって、近年の被害増加の一因となっているのです。
当然対策として猟師の担い手の数を増やさないといけないのですが、そこでひとつ注意が必要です。上にも述べたように、猟師さんのほとんどが狩猟そのものを楽しむことを目的としていることです。
ほとんどの自治体が、鳥獣対策の一環として地域の猟友会に有害鳥獣の捕獲を委託しております。そこでは委託料や取れ高に応じた報酬が猟友会に支払われているのですが、猟師さんはそれで生計を立てているわけではなく、ほとんどが自営業等との兼業になります。なので、猟師さんは有害鳥獣の駆除に必ずしも積極的ではないということです。
たとえば、猟師さんは狩猟においてシカよりイノシシを好みます。イノシシの方が、肉としての販売価格が高かったり、肉の扱いやすさ(調理法)などが上げられます。しかし実際には、シカの方が被害が大きく猟師さんの狙う捕獲の対象と、特に被害を抑えるべき相手にギャップが存在します。また、狩猟文化として無駄な殺生を避けたいと思う猟師さんも多く居り、そういった方は命を頂戴するという姿勢で、捕獲した以上は肉だけでなく皮から角まですべて利用し尽くすという考え方を持っているため、有害鳥獣の駆除というと少し姿勢が変わるようです。
このように狩猟が趣味や文化の延長上の活動であることと、有害鳥獣駆除とのすり合わせが必要ではないかと思いました。