Whistle Life

食と農の話題を中心に、日々の雑感をつづります。

TPP加入でも”我関せず”な農家が実は多い?TPP加入による影響

 本日、安部総理大臣がTPP交渉参加を表明しました。

昨日のニュースでは、政府試算によるとTPP加入によって農業生産額は3兆円減、とも報じられていました。日本の農業総生産額は8兆円なので、3兆円となるとなかなかのインパクトになります。しかしながら、非常にざっくりな数字なので、農産物の生産にどのようなに影響があるのか分かりません。

今回は細かい数字は出せませんが、TPP加入による農業への影響を考えてみたいと思います。

 

まず、TPP加入で一番影響を受ける農産物はコメでしょう。よく知られているようにコメの関税は778%です。これがもし関税撤廃の例外と認められなければ、一気に安い外国産のコメが日本に入ってくるわけです。

しかし、私は一方で楽観視している面もあります。それは日本人が食べているこの米は東アジア特有の文化であるからです。コメの分類というのは大きく分けて3種類、ジャポニカ米、インディカ米、ジャバニカ米、これらはイネの栽培種として明確に分かれています。日本人が食べているのはジャポニカ米で、粒が短くモチモチしているのが特徴です。この種類を主に食べる文化があるのは東アジアだけですが、それ以外にも生産国としてはアメリカ、オーストラリアが挙げられます。

TPP加入してもインディカ米などの外国産は日本人は食べないでしょう。また、アメリカやオーストラリアも現時点では日本に大規模に輸出できるほどの生産もできていないと聞いています。さらに、日本のおいしい米は水資源・森林資源豊かな日本のきれいな山水が育んだともいわれており、アメリカなどの外国産のジャポニカ米が口にあうかという問題もあります。そういう意味で案外影響は少ないかも、と思ったりもします。

とはいえ、これはあくまで楽観視です。日本に米が売れるとなれば、生産量は増やすでしょうし、ベトナムなどの農業国もジャポニカ米の生産に乗り出すかもしれません。品質も最低限の味が保証されていれば外国産業などでは積極的に利用されていくことになるでしょう。その影響の度合いは正直はかりしれない部分があるのです。

 

ただ、米についてはもう少し言いたいことがあります。日本の米の生産者の70%以上が兼業農家です。つまり米の生産以外に収入源を持っている、あるいは年金暮らしの高齢者などは自給的に米の生産しています。最近の傾向として米の価格は下がり続けており、小規模の稲作ではほとんど儲けが出ない状況です。そのなかで高齢化も進んでおり、兼業あるいは自給農家はわざわざコストをかけて稲作しようとせず手放す。それが耕作放棄地となって問題となる。

つまり何が言いたいかというとTPP加入するしないに関わらず農業の生産量が減るのは間違いなくて、その減少スピードが早いか遅いかの違いではないかということです。

 

野菜については、実は野菜は関税が数%しかかかっていないのであまり影響は無いだろうと考えられます。この辺りはマスコミも勘違いしている時もあり、新聞でTPPの影響が表になってて農産物価格の低下という項目の横に米とトマトのイラストが書いてあったりするのを見たことがあります。

実際に京都の野菜農家さんなどは、「我、関せず」という人も多いです。それをマスコミがひとくくりに農家に打撃と報じるのには違和感があります。

 

それでいえば、個々の農家に目を向けると、稲作の兼業農家でも農業外で十分な収入のある農家にとっては、むしろ親の代から相続されてきた農地をお荷物とすら思っていたりもするかしないか、そういうこともありえそうです。つまり、稲作の兼業農家の方もTPP加入について、「我、関せず」という人結構いるのではないかなぁと思っています。

 

そう考えると結局TPPで困るのは、稲作専業農家さんと、生産額が減ると組合員さんが減ってしまう農協に絞られてくるのではないかなぁ、とぼんやり考えたりもします。