Whistle Life

食と農の話題を中心に、日々の雑感をつづります。

農業と太陽光発電の共存ーソーラーシェアリング

 支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取り扱いについて

 

 平成25年3月31日農林水産省が上記タイトルの通知文を公表しました。

 

支柱を立てて営農を継続する太陽光発電とは何でしょうか?おそらく字面だけではどんな物か想像しがたいのではないかと思います。これは農業と太陽光発電共存させるという新しい考え方で、ソーラーシェアリングと呼ばれ、近年少しづつ取組が広がっています。ソーラーシェアリングはパイプなどの支柱を組み上げて、屋根の部分に太陽光パネルを設置することで発電しつつ、地面ではちゃんと作物を作付けして営農を継続するというものです。

 

 東日本大震災以降、耕作放棄地などの農地において大規模に太陽光パネルを設置する、いわゆるメガソーラーに注目が集められておりました。しかしながら実際にはいくつかの課題があり、そこまで大規模には取組が広がっていないのが現状です。というのも、農地には、農地を農業以外の目的に利用することを厳しく規制する農振法や農地法などの法律が壁になる、あるいは大規模に太陽光パネルを設置しても、雑草などの管理コストが一定かかってくることなど実際の運用上の課題があるわけです。

 

 一方でソーラーシェアリングは、地面から支柱を立てて高いところに太陽光パネルを設置するので農作業には邪魔にならず、営農を継続したまま太陽光発電が可能になる、という農家にとってはまさに農地の資産価値が高まるかもしれないおいしい話かもしれないのです。

 

 おい、ちょっと待って、上に太陽光パネルを設置したら、日陰になって農業できないじゃん、と思う方もいらっしゃるかもしれません。そこがこのソーラーシェアリングの最大のポイントなのですが、この考案者は、植物が必ずしも太陽の光をすべて利用するわけではない、なんならあまりに太陽光を浴びすぎると有害ですらある、ということに着目したのです。高校生物でならいますが、植物には光飽和点というのがあり、それ以上光量があっても光合成量は変わらないのです。つまり多少日陰でも作物の生長には影響がほとんどなく栽培できる、というのです。実際のソーラーシェアリングでは、窓のブラインドのように角度と間隔をつけて太陽光パネルを配置し、必要最小限の光量が地面に届くようにします。これはまさに、高校時代こんなこと習って何の役に立つの?のひとつの回答かもしれないぐらい面白い発想だなぁと思いました。

 ソーラーシェアリングについてはこちらのHPが参考になるかと思います。

 

 ただし、技術上や運用上の課題もあるかと思います。まず、やはりはじめの設備投資がある程度必要になるということ、そして投資費用を回収するのに売電することになるのですが、その売電価格が今でこそかなり高いですが、下落傾向にあること(2010年で48/kwh2013年は38/kwh)と政府の政策に左右されがちなところで、計画が不安定になるのが懸念されます。

 また、インターネット上で見られるソーラーシェアリング実験圃場では近くに住宅地が見られますが、本当に広大な平地の農地に建てる場合に送電設備等を設置する必要があるのではないか、と考えています。

 

 実は、はじめは眉唾かな、とも思ったのですが、ソーラーシェアリングの取組が全国レベルで広まっている模様であること、だからこそ冒頭紹介したように農林水産省が今回のような通知を出したとも言えるので、これからも注目していきたいと思っています。