三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

農業所得倍増計画は誰のための政策か

 安部総理が先日、アベノミクスの第三の矢である成長戦略として、農業所得の倍増計画を打ち出しました。野心的な政策だと言われている部分もありますが、政策の中身をみると今まで議論されていた内容であることもあり、本当に出来るのかなぁ、と思ってしまいます。

 

 今回のこの倍増計画で注意しないといけないのは、この政策は誰のための政策なのかな、というところです。大きく主張したいのは、この政策は、農業所得の倍増であって、農家個人の所得倍増ではない、ということです。

 

総理のスピーチのなかで、三つの戦略が出されていました。

1.輸出倍増戦略

2.農林水産業の6次産業化

3.農地の集積・集約化

 

これらをひとつひとつ誰のための政策かを検討していきます。 

まず、輸出倍増戦略ですが、これについては「攻めの農林水産業」といいつつ、しれっと農林水産物・食品の輸出額、となっています。目標は2020年までに1兆円規模となっています。しかし、内訳をみるとその半分を加工食品が占めています。ここで考えなくてはならないのは、加工食品を製造しているのは食品メーカーだし、その原材料の調達はほとんどの品目において海外に依存しているという事実です。

 

次に農林水産業の6次産業化です。6次産業化とは農業(1次)、工業(2次)、サービス業(3次)の融合を指すわけですが、どのように融合するかは3つの方向性があるかな、と思ってます。

① 農家が自分で加工・販売に取り組む

② 農家と商業者が手を組む(農商工連携

③ 食品メーカーや外食産業等が農産物を自社生産(カゴメワタミ

 

③はともかく、②においても一般に、原料を提供するという農家の立場は弱い傾向にあります。そうなると安定的に農家が利益を得ようとすれば①の方向性になりますが、専業的に農業生産している農家にとってはなかなか労力が回らないのが現実です。すくなくとも個人直売所をするレベルの規模でないと農家が自分で6次産業化するのは難しいでしょう

 

農地の集積・集約化も中身をみていくと、意欲ある農家や株式会社に農地を集約させていこうという話なので、農家個人レベルでみると、あまり所得の向上は見込めないと思います。

 

 

いま、見てきたように農業所得倍増計画というと農業業界の従事者たる農家の所得向上を思い浮かべがちですが、決してそうでなくかなり大きな事業体を想定しているというのがわかるのではないでしょうか。

もっともそれ自体が悪いわけではなく、政策の伝え方として誤解を招くのではないか、というのと、戸別所得補償などの農家個人への直接支払い制度との整合性は今後チェックしていく必要があると感じています。