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Whistle Life

食と農の話題を中心に、日々の雑感をつづります。

性の支配者ボルバキア

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 前回は興味深い共生の事例として節足動物に寄生するボルバキア、その宿主の性を支配する4つのシステムがあることを伝えました。この4つのシステムを使って、メスの卵を通じて世代を超えて拡散していくボルバキアの戦略を引き続き紹介したいと思います。

 

(1)細胞質不和合

 (2)オス殺し

 (3)メス化

 (4)単為生殖化

 

 今回は(2)を飛ばして先に(3)メス化を紹介したいと思います。

 

 メス化

メス化という現象は、前回挙げた細胞質不和合ほど一般的な現象ではありません。ダンゴムシやワラジムシ、キチョウやヨコバイなどでその存在が知られています。

 ダンゴムシの場合、造雄腺とよばれる雄のみに存在するオス化に関係する器官にボルバキアは増殖して、その性ホルモンの分泌に異常を起こすことで、雄を性転換させます。

 おもしろいのは、遺伝的にオスである個体が形質的にメス化するというものです。さらにおもしろいのは、メス化進行中にボルバキアを取り除くと、なんとオスとメスと中間的な性の個体が生じるというのです。

 こうした特徴からボルバキアは性の進化に影響を与えているという説もあります。

 オス殺し

 さて、言葉をみるだけでもぞっとしてしまうこのオス殺しという現象です。甲虫類やハエ目・チョウ目・カニムシなどでみられます。これはボルバキアが感染した母親が子どもを産んだ場合、もしオスが生まれたらそれは受精卵の発達の段階で死んでしまいます。そしてそれはメスの栄養となるのです。恐ろしいですね。この話を聞くと、交尾が終わったら食べられてしまうカマキリのオス、受精の際体ごとメスに取り込まれてしまうチョウチンアンコウのオスなど、他の生物のオスの悲しい運命を思い出してしまいます。ボルバキアの場合、生まれてすぐにそのような運命を迎えてしまうので余計にかわいそうといえるでしょう。

 単為生殖

これはダニやハチ、アザミウマなどで見られる現象で交尾することなくメスだけで卵を産み、繁殖していくことができるというものです。

 

 

以上、これまで見てきたようにボルバキアは非常にさまざまな戦略を用いて、メスを残すことで自らの存在も繁殖させようとしています。特に性の決定というその個体の存続に非常に重要なことまで外部の存在であるボルバキアが支配しているというのは興味深いですね。