Whistle Life

食と農の話題を中心に、日々の雑感をつづります。

炭素文明論-高校生のときに読んでいたらもっと化学に興味をもったのに!

 
炭素文明論―「元素の王者」が歴史を動かす―(新潮選書)炭素文明論―「元素の王者」が歴史を動かす―(新潮選書) (2014/01/31) 佐藤 健太郎 商品詳細を見る

普段から私達の生活に馴染み深い炭素化合物、デンプン、砂糖、尿酸、カフェイン、石油などすべて炭素化合物であります。炭素は4つの結合の腕でほぼ無限といってもいいほどの種類の化合物を形成することができます。

 この本はこの炭素が主役の本です。それも炭素化合物という視点で文明の歴史を概観するというものです。この本が、化学の受験勉強していた当時に読んでいたら、もっと化学に興味をもっていたかもしれない。一番それを痛烈に感じたのはハーバーボッシュ法の説明の部分です。空気中の窒素からアンモニアを生成する、高校時代いたって単純な化学反応式として覚えた私は、この本を読み、こんな時代背景やプロセスがあったのかと感動すら覚えたのです。

 そして人間と炭素化合物はこんなにも関わり深い存在なのかと、今更ながらに再確認できました。いやむしろ、関わり深いどころか、炭素化合物に人物が振り回されてきた歴史でもあると本書は語ります。カフェインや砂糖が人の心を魅了して戦争のきっかけにもなっています。また、石油などはもっと直接的にエネルギー資源の奪い合いとして紛争化されています。台風や地震などで大きな被害があった際には自然というのはコントロールが効かない、というようによく言いますが、まさにこれらの炭素化合物はアンコントラブルなものだったのでしょう。でも人類はそれをコントロールしようと科学を発展させてきたわけです。そして近年科学はつぎのステージを拓きつつあるといいます。「自然界に全く存在しない性質をもった物質を、新たに設計して生み出す。」というのです。わりとエネルギーとかの話題になると暗くなりがちなこのテーマも最終章でこのような形で希望・展望を書いている点が筆者の非常に前向きな姿勢が伺うことができました。

この本は理系の方が書いたようです。すごく歴史のこともよく研究されていているように感じますし、このようにわかりやすく炭素(化学)を伝える、そして興味をもってもらう、という意気込みが感じられました。