こんなニュースを見ました。
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=33421
緑提灯について
緑提灯結構懐かしい響きです。飲食店が、国産とか地場産品を50%以上使っていることを示すサインとして緑提灯を掲げるという地産地消の取組です。一時期はマスコミにも取り上げられ、結構話題となっていました。最近はあまりメディアではみかけないな、と思っていましたが、取組自体は着実に続けられていたようで、普及も全国で3,500件にまで及んだとのことです。
この緑提灯の取組、おもしろいのが行政やそれに準ずる機関が行っているものではなく、民間からの自発的な取組、いわば運動というべきものなのです。上の緑提灯の説明を読んで多くの方が、「国産とか地場産品を50%以上使っているお店」を誰か第三者が審査とか認証すると感じたのではないでしょうか?実際この手の取組というのは認証制度という形をとっているのがほとんどです。
しかしこの緑提灯の取組というのは、お店自身の自己申告により、お金を払って設置するものなのです。趣旨に賛同し、要件にあうと自分で判断したら、お金を払って緑提灯を掲げる。ある意味シンプルなしくみといえます。そんなだれからの認証も受けない自発的な取組が全国的な広がりを見せ、消費者に認知されたというのが、とても興味深いことだと思います。
緑提灯の取組に込められた思い
くわしくは本家のHPにゆずりたいと思いますが、この取組の考案者は
農研機構という農業関係の研究機関に勤めてらした方のようです。北海道に赴任した時に、街の居酒屋で地酒をおいていないことに心を痛め、地場産品を取り扱っているお店を応援するために考案したそうです。
当時は2005年とのことですが、まだ地産地消という言葉が世間に普及されていなかった時期かもしれません。重要なのは、だれに押し付けられるわけでもなく、運動に賛同したお店です。そこにはやはり発案者の「思い」があったのではないでしょうか。認証制度のような硬い制度とならなかったおかげで、参加へのハードルが低くなったのと、さらに共感につながりやすく普及にいたったのでしょう。発案者の「思い」が見えたからこそ賛同を得たのだと思うのです。
「思い」の見えない行政施策
行政が掲げる農業関係の施策はいろいろとイケていないと感じることが多いのですが、その要因はやはり「思い」の有無に他ならないのではないでしょうか。例えば「6次産業化」いまや、目指すべき農業の方向性として何か記事になるときには、記載されないことは無い言葉となっている「6次産業化」」。国は法整備までして支援策も用意したりしているようですが、どこかで意味があるのかと感じてしまいます。
当然「6次産業化」という言葉自体が存在する前から、農業者や企業の自発的取組として存在はしてたし、それが成功したからこそ、いま注目を浴びて、いろいろな場面で声高に掲げられているのだと考えます。そしてその成功の要因には何かしらの事業者の「思い」があるのだと思います。
行政において、成功パターンを類型化するのは得意です。さらに「6次産業化」こうすれば成功しますよ!と言い制度化されていく。そこでは「思い」というのがスキップされています。そこが無いと役所がまたもっともらしいことを個々の経営体に押し付けている。とも捉えかね無いのです。
「6次産業化」も計画認定とかいうのがあるそうです。認定や認証といっただれかがお墨付きを与えるのでなく、「思い」から共感・賛同を得て取組が広がる、というパターンをこの緑提灯から見習うべきではないかと感じた次第です。