以前にベランダ菜園を始めた記事を書いてからしばらく経ってしまいました。
わりとすくすくそだっている我が家の野菜たちです。
今日はトマトの着花習性の話をしたいと思います。
よく園芸の雑誌等で、「トマトの花は同じ向きに咲くので作業効率を考え、花がこちらに向いた状態で植えましょう」というようなことが書いてあるかと思います。
着花習性というと少し難しいかもしれませんが、今回はこの「トマトの花は向きが同じです。」という話を少し深堀りしてみたいと思います。
まず、トマトを横からみて、ここでトマトの葉のつき方、花のつく位置を確認してみましょう。
つたない絵ですみませんが、緑の縦に一本あるのが茎で、ちょこちょこ出ている部分が葉です。そして黄色の部分が花で将来実がなる部分です(果房と言います。)一番下を第一果房と言いまして、葉っぱが7ー10枚ほど出来た時点でできるわけですが、それから上の第2果房、第3果房については、3つの葉の配置ごとに花ができることが分かります。
この三つの葉の次に花がつく、というのはその次の第4果房以降も続きます。そういうサイクルで、花そして実が出来ていくのです。
ちなみに少し話はそれますが、一般の植物においてその成長は茎や葉が成長する栄養成長、花や実が成長する生殖成長といった具合にその成長のステージが分かれています。
例えばイネなどでは種子から苗、苗が育って、花が咲き、実がなり、収穫されて米となる、その大体7、8ヶ月の生育期間の中で栄養成長(体の成長)は3月〜7月、生殖成長は8月〜10月(実の成長)とそのステージがはっきりと分かれている一方で、トマトは先ほどの絵にあるように花が咲きながら茎が伸びて新たな葉も生え、栄養成長と生殖成長が同時に進行されます。
それぞれの成長ステージで必要とされる養分の質も違ってくるので、そういう意味でトマトは栽培が難しい植物と言えるわけです。
さて、先ほどはトマトの花が3つの葉に一度のタイミングで作られるというお話をしました。さて、今度はトマトを真上からみたときの、葉っぱのつき方に注目してみましょう。
先ほど以上につたない絵ですみません。
真ん中の緑の丸が茎です。そこからでているのが葉っぱ及び花ですね。
トマトを真上から見たときの図を、葉っぱ3枚及び果房という1サイクルのみ示しています。そして見ていただくと、その1サイクルが実際に茎の周りを一周する形で葉などが配置されていることがわかります。したがって、一周のサイクルで果房が配置されるので、今ある果房の真上に次の果房が配置されることになります。
つまり、同じ花の咲く向きが同じというのは、3つの葉にひとつの果房というサイクルが茎を一周する形で配置されていくがために起こるトマトの習性ということなのです。
園芸では当たり前の話かもしれませんが、背景を知っておくと面白いですね。さらには植物の葉の配置というのは一定の規則がありますので、トマト以外にもそこに着目すると新たな発見があるかもしれないですね。