三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

《農政ウォッチ》農地の番人・農業委員会

 

先日の農協法改正に続いて今度は農業委員会改正のニュースです。

もう法律も可決、成立したようです。

 

www.agrinews.co.jp

 

 

この農業委員会改革は、JA改革・農業生産法人の改正と並んで3大農業改革と言われています。

いずれも改革案も、農業の成長産業化をはかるために経済主体の自由で積極的な活動を促すための環境整備として挙げられているわけです。

この手の改革は、手段であって目的となってはいけません。今回の法律で何がどう変わり、それが農業という産業にどう影響を与えるのかをみていかなくてはなりません。

 

そこで今回はこの農業委員会改革を解説します。

と言いたいところなんですが、正直この農業委員会という制度自体が一般の皆さんに説明するのが、結構難しいんです。

制度自体がややこしいのに、改革までしてなにがどう変わるのかを語るにはさらにややこしい話になるなぁと思っています。

しかしながら今後の農政を考えるうえで、重要なところでもあると思うので、そもそもの農業委員会の制度自体からひとつひとつ見ていきたいと思います。

 

農業の特殊性が農業委員会を必要とした

まず、農業委員会の役割を考えるうえで、農業の他産業と比べた場合の農業の特殊性に着目する必要性があります。農業が他産業と明らかに違うところは何でしょう。

それは、その生産活動が土地=農地に縛られるということです。

農地は基本的に農家の所有です。しかもそれは代々と受け継がれてきたもの。そして農地というのは基本的に不可逆です。一度宅地化されてしまうと元の状態に戻すには多大な労力と費用がかかります。さらにそのコストをペイすることはかなり難しいといえます。

 

それゆえ、勝手に農家が自分の身入りのために農地を手放して宅地や工場などを立ててしまったら、農地はどんどん減少し、農業の生産基盤が危うくなってしまいます。

 

こうしたことから、農地の権利移動や転用などについては農地法で規制がかかっており、農地が守られているわけです。

 

そして農地を守るため、農地の売買や賃貸の許可、転用案件への意見具申、遊休農地の調査などを行うのが農業委員会となるわけです。

こういった農業委員会の役割から、農業委員会は「農地の番人」と呼ばれています。

 

地域の農業者によって組織される農業委員会

 

ではその農業委員会はどのように組織、運営されているのでしょう。

農業委員会は行政委員会といって、自治体とは独立した組織です。政治的中立性や利害調整における公平性を担保するために、行政が一元的に権限をもつのでなく、行政から独立した組織体で行政の執行機関となるのが行政委員会になります。

 

身近な例でいくと教育委員会もそうですね。教育という国民にとって超重要なことを自治体が一元的に決めるのではなく、地域住民らが集まって決めるというものなんですね。

 

農業委員会においては地域農業における農地の利害調整は地域の農業者が行うべき、との考えから行政委員会として設置されているのです。

したがって農業委員会は地域の農業者の代表によって組織され、農業委員により運営されています。農業委員は選挙から選ばれていたり、農協などの農業団体からの推薦を受け、自治体が任命をしています。

 

そして今、この組織のあり方自体が大きく変わろうとしています。

それについては長くなったのでまた追って記事にしたいと思います。