さて、前回は農業の特殊性からみた農業委員会の必要性や役割について書きました。
今回はいよいよ農業委員会改革の中身にふれていきたいと思います。
前回の記事でも書きましたが、先日農業委員会改正の法律が成立しました。
農協改革と並んで戦後農政の大改革と言われているわけですが、改革というからには、既存の農業委員会は課題を抱えているということになります。
その課題は何なのか。
まず見ていきたいとおもいます。
農業委員会の課題
農業委員会について見直しが必要と言われる原因の一つに、現在の農業委員会の機能が十分に果たされていないというものがあります。耕作放棄地が増えるなかで、農地の利用調整としての機能が果たされておらず、活動が低調と評価されているそうです。
なぜ活動が低調なのか。
農業委員のほとんどが「兼業農家」であり、また農業委員というものが「名誉職」となってしまっているからといいます。
つまりは本当に地域のためにがんばっている農業委員が少ないという評価になっているわけです。
また、農業委員会に対する批判の一つとして農業委員会が排他的というものがあります。(もちろん、地域によると思うけど)
地域の農業者から選ばれているので既存の農家にとっては農業委員は「身内」なわけです。それが多様な農業の担い手を育成するうえで、排他的と捉えられてしまうわけですね。
農業委員の選ばれ方自体も問題がありました。まず選挙といいつつ実際には地域内での調整機能がはたらき、一人しか立候補しない状態になります。そうなると無投票選挙となるわけですが、実は農業委員選挙の約90%がこの無投票選挙となるわけです。
それだったら農業委員別に選挙で選ばなくてもいい。
というお話になります。
そして公選制の廃止へ
改正農業委員会制度では、公選制が廃止されることとなりました。
選挙がなくなり、市町村長が、議会の同意を得て任命することとなったのです。そしてそのうち過半数以上を、認定農業者という儲けるためにがんばっている農家にしなさい、というお話になっております。
さらに、利害関係にない人物を一人加えることとなりました。
さらに法律では、農業委員とは別に新たに農地利用最適化推進委員を置くこととなっております。
政府がこれで、農地利用の適正化を図るとしていますが、面白いのは反対派の意見。
この制度となることで、農地利用の適正化が図れなくなるという政府と逆の主張を行っているのです。その主張は、反対派は農業委員会の役割として地域農家自身による自主的な管理という自治性に重きを置いているからだと思います。
一方で政府としては、新規就農や担い手への農地集積など自治というよりは外部からの視点というのを重視しているのだと思われます。
農地適正利用とはなんなのか?農村社会が変化するなかで、いま過渡期にあるのは間違いなさそうです。