三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

丸大根の煮物 米のとぎ汁で下茹でする理由 下茹でした方が良いとき・しなくて良いときを見極めよう

 

今日は丸大根の煮物作りました。

急に冷え込みが激しくなり,あったか〜い煮物が恋しくなる季節なる季節となりました。

 

大根の煮物といえば,煮込む前に、大根を米のとぎ汁で下茹でするように書いてあるレシピは多いです。

でも、実際のところ、この下茹で作業って面倒ではありませんか?

どうせ煮込むのだから,はじめから煮込んでしまえば楽ですよね?

また,米のとぎ汁を用意するのも大変です。

お米を洗ってたのに,とぎ汁を残しておくのを忘れていた。

なんてこともあります。

 

どうしてわざわざ下茹でをしなくてはいけないのか?

下茹でせずに料理することはできないのか?

なぜ米のとぎ汁を使うのか?

どんな時に下茹でするのが良いのか?

 

大根の煮物を調理する上での疑問を、細胞レベルで読み解いていきたいと思います。

 

 

 

 結論から言うと,米のとぎ汁で下茹でするのには,以下の三つのメリットがあるからです。

 

  1. アク抜き
  2. 甘みが出る
  3. 味が染みやすい

 

ひとつひとつみていきましょう。

 

1. アク抜き〜とぎ汁は悪を取り除く正義の味方〜

もしかするとアク抜きが一番大きな理由かもしれません。

下茹では,大根に含まれる苦味やえぐみの成分である「アク」を取り除く役割があります。

 

ここでそもそもアクがなんなのかを説明します。料理しているとたびたび登場するアク抜き。例えばほうれん草やタケノコ、山菜などがそうでしょうか。

 

アクは特定の物質のことを指すものではありません。

えぐ味や苦味、臭みなど、人間が食べるにあたって不都合なものを「アク」と言っているのです。

自然界では、植物は苦味があることで動物に食べられるのを防いでいます。

逆に,野菜でも,果実系は食べられるように逆に甘くなる。

動物に食べてもらうことで,果実に含まれる種をひろめるためです。

 

特にタケノコや山菜などの野生のものは品種改良されていない分、特にアク抜きが必要となるわけです。

 

では,なぜ米のとぎ汁と一緒に茹でるとアクが取れるのでしょうか?

茹でることで、細胞からアクが抜け出て、米のとぎ汁がアクを捕まえるからです。

アクの原因となる物質は、植物の細胞壁の中に入っています。

熱を加えると,細胞壁は緩んで、アク物質が細胞外に溶け出しやすくなります。

 

そこで,とぎ汁が登場します。

とぎ汁は白く濁ってますよね。あれは米を研いだ時にでたデンプン質が、コロイド粒子となっているからです。そのコロイド粒子がアク物質を吸着することで、アクを完璧に廃棄しているんですね。

一旦細胞から出てきた「アク」が再び細胞の中に戻ることを防いでいるといえます。

 いわば,米のとぎ汁のコロイドは,大根の中の「悪の心」をとり除く正義の味方といえます。

 

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2. 甘みが出る〜下茹ではマイナスをプラスに変える魔法〜

大根の中には有名な栄養素としてジアスターゼが含まれています。

ジアスターゼは胃腸の消化を助ける酵素なんですが、これがとぎ汁の中に含まれているデンプン質と作用すると、デンプンは分解されて糖分になります。

この糖分が大根に取り込まれて甘味が引き立つわけです。

 

さらに、下茹では大根の辛味も消してくれます。

大根には、イソチオシアネートという辛味成分も入っています。

ところが、この物質は実は熱に弱いです。熱の弱さが、下茹でによって、辛味を消してくれるわけです。

辛味というマイナスから、甘味というプラスに。

米のとぎ汁は、大根に魔法をかけてくれるのです。 

 

3. 味が染みやすい

これまで見てきただけでも十分ですが、それだけではありません。

さらなるメリットがあります。まさに米のとぎ汁は一石三鳥です。

熱を加えると細胞壁が緩むということは1で説明しました。

1では、アク物質が細胞外に出ることを言いましたが、その逆も然りですね。

細胞壁が緩むということは、別の物質も入りやすくなるということです。

 

よく、おでんでは、「味が染みる」という表現をします。

醤油はみりんなどの調味料成分が、細胞の中に取り込まれることによって、大根に味がつくわけです。

米のとぎ汁による下茹でが味付けし易くしてくれるのです。

 

それでもやっぱり面倒な場合

 

これまで米のとぎ汁によるメリットについてお伝えしてきました。

とはいえ、それでもやっぱり下茹でするのは面倒だ。

そんな声もあると思います。

絶対に下茹でしないといけないのか? 必ずしもそうではありません。

より美味しくしようと思えば、確かに下茹でするに越したことはありません。

でも、下茹でしなくても良いパターンはありますので紹介します。

 

1.新鮮でアクがない時

下茹でのメリットとしてアクを取り除くことを上で書きました。

でも、それはあくまで細胞中にアクがあるからです。

もしアクがなければ、どうでしょうか?

大根など野菜のアクというのは、古いものほど多いです。

収穫した後、徐々に溜まっていくんですね。逆をいえば、新鮮なものはアクを抜く必要はありません。野菜の直売などで新鮮な野菜を手に入れた時は、下茹でしなくても、美味しい煮物を作ることができます。

 

2.煮物以外の料理をする

新鮮な大根がなかった時は、下茹でが面倒であれば、別の料理にするのもいいかもしれません。炒めものであれば、味が染みるなんてことは気にする必要はありません。

いっそのこと、大根おろしにして、冷凍して保存することもできるでしょう。

おでんにする大根は、下茹でする必要のない新鮮な大根を使い、使いきれなかった場合は、違う料理に使うと、素材の鮮度に応じた美味しい料理を作れると思います。

 

3.時間がない時

時間がなくて、古い大根しかない時、それでも煮物を作りたい時。

そんな時は遠慮せずに、下茹でせずに作りましょう。

別に下茹でしないと、美味しくないわけではありません。

自分で食べたい分だけ食べる時などは、下茹でせずに食べるのが一番楽なのは確かです。

レシピに書いてあるからといってそうする必要はないのです。

あくまで米のとぎ汁は、美味しく作るための工夫と捉えましょう。

 

今回は、大根の米のとぎ汁を使った下茹でについて、細胞レベルでのメカニズムを見てきました。メリットを理解することで、下茹でするかどうかの判断をすることができます。

より料理を楽しめることと思います。