三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

企業の農業参入〜実は農業と親和性高い建設業編〜

 

 企業が農業に参入する。

毎日農業関連のニュースを目を通すと、この手の記事は本当に多いです。

 

今回からシリーズで不定期に企業の農業参入についての事例を紹介します。

ひとくちに企業の農業参入といってもその参入の仕方や思惑は割と多様です。

多様な農のあり方を認めることは私たちの人生の選択肢を増やす事にも繋がるので、私自身は、割と企業参入に賛成の立場です。

 

増える農業参入

 

さて、初めに企業の農業参入についての状況を見ておきましょう。

農水省がまとめてくれています。

 

企業等の農業参入について:農林水産省

 

もともと農地というのは農地法で守られていて、企業からの参入は限定的でしたが、平成21年の法改正により、農地の賃貸借が全面的に可能になりました。

その影響からか、改正前436件だったのが、現在は2,222件まで参入法人が増えています。実に5倍ですね。

規制緩和になり、急速に参入が進んでいることが分かります。

 

 

ところで、どんな企業が農業に参入しているのでしょうか。

どうも建設業による参入が多く、その割合は30%を超えるようです。

 

業界トップはもっぱら植物工場

 

どんな事例があるのか、まず業界TOP3(業界動向サーチ)の状況を見てみましょう。

業界3位 鹿島建設

www.kajima.com

 

植物工場に関する技術。特に植物工場の「建設」というところで関わっているようです。サービス内容を見ているととりわけ医薬品用、漢方用の薬用植物の植物工場に力を入れています。

実績として研究用の遺伝子組み換え植物用の工場も建てています。

農地を取得していないという意味では、本当の意味での「参入」と言えるか実は微妙だったりします。

 

業界2位 大成建設

www.taisei.co.jp

 

こちらも植物工場への支援がメインとなっているようです。

注目すべきは、建設そのものだけでなく、事業化を支援。つまり、ハードもソフトもコ支援するというところで総合的なコンサルティングを目指しているようです。東京農業大学との連携もしており、本気度がみてとれます。

 

 

業界1位 大林組

www.obayashi.co.jp

 

大林組は、他の二つと明確に違うのは、自社で生産事業まで乗り出していること。

また、植物工場では大手のスプレッドと事業提携していること。農業そのものに「本格」参入している事例と言えます。

 

 

これまで、どちらかというと業界でもTOP3に入る業界の事例を紹介してきました。

いずれも大規模な植物工場で参入していることが多く、大手ゼネコンならではの大規模な建設技術を生かしての参入になるのでしょう。

一方で、建設業というのは裾野が広く、各地域経済を支える業態としても大小様々な企業が存在しているのも確かで、そういった中小企業においても農業参入は進んでいます。

 

 

なぜ、建設業が参入するのか

 

初めに参入する法人の30%以上が建設業だと言いました。

建設業が農業に参入する理由は大きく分けて二つだと思っています。

 

① 建設業自体の不況

建設業の大きな収益源となる公共事業が、バブリーな成長時代と違って、明らかに減っていることがやはり大きいと思います。単純な土木事業だけでは、企業としての成長はおろか、現在抱える雇用を確保することも難しくなってきます。

それで建設業の強みを生かして、新たな収益事業を確保する必要があるのです。

大手になればなるほど、様々な分野に参入し、模索している様子が伺えます。

 

② 農業と建設業の親和性の高さ

 

一見別々の事業に見えますが、実はこの二つは親和性が高いのです。

というのも、そもそも農家自体に建設業を営んでいるケースが多い。兼業農家は冬場の農閑期に建設業で稼ぐということをやっていることが非常に多いのです。

建設業で必要な土木技術は、農機具の扱いを筆頭に流用できる技術でもあります。

農業というのは、牧歌的なイメージを抱く方が多いかもしれませんが、意外に機械や土木技術が必要なのです。

 

 

以上、建設業が参入する概況を見てきました。

本当に成長する産業として農業は魅力的なのか。もしかしたら、建設業界自体がピンチで藁をもすがる気持ちで参入してるケースもあるやもしれません。

とは言え、そうしたピンチが新しいサービスを生むと言えるので今後の動向にも注目したいと思っています。