テレ東が大晦日に特番をするということで話題になった本作。
試しにネットフリックスで視聴したら、なるほど話題になるだけある、と感心しました。
不思議な魅力に溢れているこの作品を、第1話レポートとともに感想をお届けします。
孤独のグルメ。これまでも度々話題になっていたので、大体の内容は観る前から分かっていました。
松重豊演じる主人公井之頭五郎が、飲食店に立ち寄って、料理を食べながら、ひたすらモノローグで感想を語る。
この構成からも想像して取れるような、ゆるい日常系というか、脱力系の趣きのあるつくりになっております。
はじまってすぐ。主人公は仕事の営業(?)で喫茶店の店に入っていきます。
入っていくと、店主のおばさんが出てきて一方的に(話を割り込む余地もなく)話し続ける。
ようやく、話し終えて店を出ると、タバコが吸いたくなる井之頭。せっかくここまで来たのだからと、気になっていたアンティーク店へ足を急ぐ。
アンティーク店の店内を一巡りした後、「自分は店を持つのは性に合わない。男は一人でいるのが身軽で良い。」と独りごちて、今晩の晩飯の場所を探す。
っていうのが、前半のあらすじです。
見てる間は、グルメがいつでてくるのか気になるけど一向に現れず、コレなんの話だ笑って心の中で突っ込んでました。
でも何だかその日常の描写はとっても親近感が湧くような作りになっていると思います。
例えば冒頭。客に呼ばれた喫茶店を前にして、「おいしいコーヒーとごはん」というごくごくありふれた店前の看板を前にして、コーヒーと白いごはんを想像する井之頭。
いけない想像をしてしまったとすぐにイメージを振り払います。
こういう何でも無いものに、心の中でツッコミを入れることって結構あるのかなって思います。
また、喫茶店に入って、聞きたくも無いのにおばさんの話を聞き続けなければならない。なかなか切り上げることができない。そんな状況もよくあるのではないでしょうか?
そういう意味で、本当に些細なことだけど、日常を脚色することなく丁寧に描かれていると思いました。それも気軽に楽しめる形で描かれているので、見心地が良いと感じました。
続いて、いよいよグルメのシーン。
入っていったのは、焼き鳥屋さん。個人経営の大衆食堂・居酒屋といった趣の佇まいです。
入店当初は、おばさんが一人で切り盛りしています。
そして、あとはひたすらグルメシーン。食べて、うまい。食べて、うまい。の感想の連続です。
食べたのは焼き鳥7種、すべて塩。ホッケスティック、焼き飯。そして常連につられて注文した裏メニューのつくねとピーマン。
感想は、うまい。とか、本当にシンプルな感想が多いのだけれど、松重豊の顔も相まって、それはそれで説得力があるんです。(確かに料理の感想って普段、そんなに奥深く表現できないですよね)
何より食べている時間が心地よさそうに見えるんですね。
ここで一見関係なさそうに見えた物語前半の昼間の出来事が活きてくるように思うんです。今日も一日の仕事で疲れた。最後のしめはどこで食べようかなと彷徨った末に入った店で仕事の疲れを吹き飛ばすかのように、ご飯にありつく。
店を持つのは仕事の性に合わない、なんて人生のことも考えたけど、そんな仕事や人生のことからすべて解放されて、ただただ、今目の前のご飯にありつく。
今書いたようなことってよく考えたら仕事をしている人なら誰でも経験しているような内容な気がします。
働く者の魂の解放。自由がその孤独のグルメに表現されている。そんな気がしてきたのです。
ただただ淡々と描かれるグルメシーンだけど、無性に羨ましく感じるのは、そんな魂の解放シーンが描かれているからだと感じました。
大げさかもしれませんが笑多くの人に支持される理由がここにあるのではないかと感じたのです。
ちょっと2話目以降も見逃せなくなった作品となりました。
今回はここまでで。