三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

《農政ウォッチ》今話題のSDGsにおける農業の役割について調べてみました

SDGsという言葉はご存知でしょうか?
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
少し前ですが,最近よく聞く言葉でもあります。
2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟国が2030年までに達成するために掲げた目標です。17の目標と169のターゲットが設定されています。

 

SDGs(持続可能な開発目標) 持続可能な開発のための2030アジェンダ | 外務省

目標が見やすくアイコン化されているのが印象的です。

 

誰も取り残されない世界を目指す

 キャッチコピーですが,「誰も取り残されない」というのが,結構力強い言葉で 気に入っています。

 SDGsは,ミレニアム開発計画の後継として設定されたもので開発途上国 をいかに発展させ,飢餓や貧困の問題をどう解決していくかが中心だったところ が,今回は持続可能な開発目標ということで,先進国においての取組,というか開発途上国,先進国分け隔てなく持続可能な社会を築いていくための目標という位 置づけになっています。より包括的な内容になっているといえるでしょう。 

SDGsにおける農業の役割
 持続可能な社会に向けて,貧困や飢餓,生物多様性などの環境問題において農業の役割は大きいと考えます。今回はSDGsにおける農業の位置づけをみていき たいと思います。

 私がそこで感じたのは,大規模生産法人による食料生産というのが持続可能でな いということを暗に示しているかのように,小規模農家への投資や作物等の多様 性,遺伝資源の保持がターゲットとして位置づけられていました。
 例えば以下の目標です。農業は,17の目標の様々な部分で関わりがあるところ ですが,ここでは直接的に農業が位置づけられているのはこの目標でしょう。

目標 2
飢餓に終止符を打ち、食糧の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持 続可能な農業を推進する

 

小規模農家の重要性

 この目標については以下のように小規模農家の重要性が明記されています。

•       世界で最も就業者が多い産業である農業は、現在の世界人口の40%に生計手段を提供しています。また、農村部の貧困世帯にとっては、農業が最大の所得源かつ雇用源となっています。
•   ほとんどが天水農業を営む全世界5億軒の小規模農家は、開発途上地域の大部分で消費される食料の80%程度を提供しています。小規模農家への投資は、最貧 層の食料安全保障と栄養状態を改善し、国内・世界市場向けの食料生産を増大させる重要な手段です。


 国連レベルの目標では,これほどまでに小規模農家の役割が位置づけられている のには驚きでした。それだけ開発途上では農業が中心産業のひとつとなっている といえます。

 またSDGsにおいてて目標に対するターゲットとして,以下のような記載があ ります。

2030年までに、土地その他の生産資源、投入財、知識、金融サービス、市場、お よび付加価値や非農業雇用の機会への平等なアクセスの確保などを通じて、女 性、先住民族、小規模な家族経営の農家、牧畜家および漁師をはじめとする、小 規模食糧生産者の農業生産性および所得を倍増させる。

 
 特に気になったところは,やはり小規模農業者への投資がターゲットとして描か れているところでしょうか。
 小規模農家への投資は、最貧層の食料安全保障と栄養状態を改善し、国内・世界 市場向けの食料生産を増大させる重要な手段という位置づけなのです。

個人的には,以下のターゲットも気になるところです。

2020年までに、国内、地域、および国際レベルで適正に管理および多様化された 種子・植物バンクなどを通じて、種子、栽培植物、飼育動物・家畜、およびその 近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づく遺伝資源および伝統的 な関連知識の活用による便益へのアクセスおよび公正かつ公平な共有を推進する。

 世界的大規模生産への批判?
 持続可能な開発と遺伝資源の保持はどのように関係するでしょうか。映画「イン ターステラー」を思い出しました。そこでは,将来像として,世界規模の飢饉, 病原菌の蔓延で主食である穀物が栽培できなくなった世界が描かれています。
 農業は,単一な品種での作物が広がると一度疫病が発生したときに柔軟に対応す ることが難しくなります。多種多様な品種が混在することで,環境変化や外部か らの圧力から,しなやかな対応が可能となるの です。
 こうして,SDGsで描かれた目標やターゲットを見ていると,生産性が高い 品種を全世界的に栽培されているという巨大資本主導で進んだ世界の食糧生産へ のアンチテーゼに思えます。
 具体的な施策はこれから各国で進められるのでしょうが,小規模農家への投資 が,どこまで将来の食糧生産システムに影響するのか。また,法人化,大規模化 を推し進める日本の食糧生産にどう影響を与えるのか気になるところです。