最高峰の料理人の仕事や料理哲学を追求するNetflixドキュメンタリーシリーズの「シェフのテーブル」。
今回はロサンゼルスで、独創的な懐石料理を提供する日本人女性シェフ ニキ・ナカヤマです。
「日本人で女性」という壁を超えて
日本人で女性。それだけでも世界で活躍するのが難しいことは容易に想像がつきます。
番組の中で、彼女の過去の勤め先「タカオ」のオーナーをはじめ、完全に彼女のことを見下していたと告白します。
修行先が日本人であってもこの状況なのだから、酷い話です。
逆説的だけど、そのこと自体が彼女を奮い立たせてるようにも思えます。
彼女の店は高級店には珍しくオープンキッチンではありません。
それは「女性だから」とか「女性なのに」といった修飾なく正当に評価してもらいたいという気持ちの現れだと感じました。
独創的なモダン懐石
実際彼女の料理は性別に関係なく独創的です。日本で学んだ懐石料理の心をベースに独自の解釈でモダンな料理を出します。
強肴として、パスタが提供されるといえば、想像つくでしょうか?
なによりもすごいのは、常にお客さんにあわせて料理を考えるそのスタイルです。
過去に出したものと同じ料理は出さない。そんな制約を課しながら、お客さんのニーズに合わせた料理を考えていく。
印象的だったのは、そのメニューをナカヤマさんのみで考えるのでなく、スタッフと相談しながら決めていくことです。
プロのシェフ、しかも世界最高峰ともなれば、トップダウンで決めていくような印象を受けますが、あくまでレストランではチームで動くのです。特に、ナカヤマさんの人生のパートナーでもあるスーシェフの存在は大きく取り上げられていました。
世界の料理人に共通するチャレンジ精神
また、彼女のチャレンジ精神にも舌を巻きます。彼女は一度、ロサンゼルスで寿司店で成功を収めています。はじめ、集客に苦労したとも言っています。困難の末の成功、普通であれば、成功した店を手放すなんていう選択肢はなかなか無いように思えます。
しかし、彼女は日本で学んだ懐石料理への感動が忘れられず、確かな技術を必要とする寿司だはなく、より独創的で自分自身を表現する料理としての懐石料理にチャレンジをするのです。
一度の成功に甘んじることなく、常に新しい可能性にチャレンジしていく。
このことは、これまで紹介した他の料理人にも通じます。
見習いたくても、なかなか出来ないことだと思います。でもこれが世界で活躍する上でのスタンダードなのだと感じました。