三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

《農政ウォッチ》八丁味噌の事例から考える地理的保護制度GIの限界3

これまで八丁味噌の地理的表示保護制度(GI)をめぐる問題について解説してきました。
地域の伝統的な産品を扱うことの難しさがあると考えます。

 

「本場という概念」


伝統的な産品ということはそこには歴史があり,発祥の地があるということにな ります。
今回の八丁味噌の例では,岡崎城から八丁はなれた八帖町で作られた味噌がその 由来となります。
その後,その品質が一定の評価を受け,生産が広がるようになると,そのブラン ド名を名乗る業者がたくさんでてきます。
そこでは「本場」という概念が出てきます。

今,大企業が新たな商品開発に取り組もうとすればその権利関係の保護に真っ先 に取り組むことになるでしょう。
しかし伝統的な産品というのは,そういった事業者が取り組む権利関係が設定される以前の話です。

 

誰もが本場を語りたい


したがって,名が通ったブランドであればあるほど,歴史が長ければ長いほど, その産品に関わる関係者が多ければ多いほど,その権利関係の調整は難しく,八丁味噌と同じような状況は起こりうるものと考えます。だれもが元祖ラーメン屋 を名乗りたいのです。

実際,登録申請は産品によって,申請してから登録されるまでの期間が長い短いがあるようです。実際、静岡のお茶などでは登録が難航していると聞いています。

真に伝統的な製法が認められないのは悲しいです。
一方で,現代的な技術をもってすれば、機械化されても伝統的な製法と同等の質が担保できるのでないかという議論もあります。

思った以上に奥深い地域ブランドの世界。
伝統あるものは武器にもなりますが,しがらみも多くあるのではないかと少し感じてしまいました。