初週視聴者満足度No.1の話題作
先日レンタル開始されたワンダー君は太陽を視聴しました。
フィルマークスでの6月3周目の初週視聴者満足度No.1ということで、期待して視聴しました。
監督はスティーブン・チョボスキー、ウォールフラワーという青春映画が印象に残っています。
主人公は、ルームの子役、ジェイコブ・トレンブレイ。母親にジュリア・ロバーツ、父親はオーウェン・ウィルソンと豪華な役者陣ですし、その演技のレベルはいずれも高く安心してみられます。
難病もののようでちょっと違う構成
難病ものというのは、感動の押売りのようで、積極的に視聴する方ではないですが、このワンダーに関しては丁寧な人物描写が心地よくて良かったです。特に、章仕立てで病気を持つ主人公の周囲に焦点をあてるという点で、他作にはない魅力を生んでいます。
主人公の病気であるトリーチャーコリンズ症候群それ自体は劇中ではほとんど紹介がないことからも障害そのものを取り上げどうこういうタイプの映画ではないことがわかります。
それはタイトルにも表れていて、君は太陽、というサブタイトルもはじめはなんだかありきたりなタイトルだなぁと思ってみていました。
しかしながら、主人公のオギー・プルマン以上に彼を取り巻く人物たちの描写に焦点が当てられ、姉や同級生の視点から、病気を背負う少年への向き合い方が描かれることで、オギーの聡明で思慮深い彼の人となりが、周りの感情を突き動かしていくさまが、まるで太陽とそれを取り巻く惑星群のような関係として描かれるのです。
つまり、君は太陽には、君自体だけでなく太陽が周囲の人物を照らす魅力があることを表しているように思うのです。そのことがサブタイトルにも表れていると知り、はじめの印象からより深い意味を捉えられるようになりました。
人物描写の積み重ねが写す多面性
具体的には、姉のvia。弟が、障害を持っているがために、母親の目があまり届かず、孤独を感じます。しかも親友だったはずのミランダがある日を境に急に距離を置きます。viaにとっては不満のある家族も、夫婦が離婚して家族が上手くいっていない彼女にとっては羨望の対象だったのです。
このように、オーガストを通じた人間関係の連鎖みたいなものが、多面的な世界を写しています。
あとは、同級生のジャックウィルです。
彼とジャックとの関係こそ、外見に左右されない、心の通った関係として一番胸を熱くしながら見ていました。あの最期の野外キャンプでの喧嘩のシーンはどうしたって感動します。
こういったオギーとそれを取り巻く人物との交流は感動的なラストシーンにつながります。ちょっと美談に過ぎるという批判も浴びそうなバランスではありましたが、細かい日常描写の積み重ねがひとつの大円団を迎えるというのは、とても映画的で個人的には映画としてメリハリが効いたと思いました。
健常者にとってはどうしたって主人公と同じ気持ちになることはできません。しかし、障害を持つものの友達や家族としての立場ならもう少し想像力を膨らますことができると思います。
そのあたりの共感を呼ぶ構成が、今までにありそうでなかった傑作を生んだように思います。