そもそも乳酸菌ってなにかというと、ある特定の菌の種類を表すのでなくて、糖を分解して乳酸を生成する細菌の総称です。この乳酸を生成する過程が乳酸発酵といって、それこそヨーグルトなどの発酵乳製品などをつくるのに利用されているんですね。
総称ということですが、実際にはどれくらい種類がいるかというと26属381種が分かっているといるとのことです。最近の乳製品などは単に乳酸菌というだけでなく、乳酸菌の詳しい種類まで書いてあることがあります。たとえば明治のLG21だとLactobacillus Gasseri OLL2716、ピルクルではLactobacillus casei (ラクトバチルス カゼイ) NY1301.などで、これらは商品パッケージなどにも記載されています。この種類名の後ろにOLL2716とかNY1301とあるのは、その菌の系統番号、もう少しひらたく言うと名前みたいなものです。ある研究者が、Aというサンプルから採取したLactobacillus caseiと、Bというサンプルから採取したLactobacillus caseiはたとえ同じ種類でも出自が違います。その違いを表す名前です。同じ人間でも、私という人がいれば、あなたという人もいますよね。出自が違えばその性質も違います。
なので、各会社は競って優秀な乳酸菌を探していて、もしこれぞ、という精鋭が見つかったら、ドヤ!とばかりにLG21などの商品を出すわけです。もし今度商品を買う機会があれば商品を見てみてください。
さて、乳酸菌というとなぜかヨーグルトのイメージですが、そればかりでなく広く自然界に分布しています。意外に忘れがちなのが、みそやしょうゆ、漬物なども乳酸菌の乳酸発酵を利用した食品なんです。最近ではこうした植物由来の乳酸菌が胃酸に強いため、腸まで生きたまま運ばれるとして、乳製品が商品となってでていたりします。
農業の分野的には、乳酸菌は微生物資材として良いよという意見もありますが、あまり農業資材メーカーの製品化はされていないようなので、実際はどうなのかというところがあります。乳酸菌一般の性質として他の腐敗菌の繁殖を抑えるので、微生物農薬として使えるのではないかなという気がしますが、微生物農薬はあまり効果が安定しないのがネックになります。
というわけで、もっぱらの関心事は乳酸菌の保健機能ということになりますが、このあたりはここで書かなくても、有象無象の記事がありますので今回はこのあたりで失礼します。