三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

ネット選挙の感想

 去る721日に参議院選挙が行われ、自民党が大勝しましたが、今回の選挙はネット選挙解禁ということでも話題になりました。

 

 今回はネット選挙について感じたことを述べようと思っていますが、まず最初に確認しておくべきことは今回のネット選挙解禁はネットによる投票行動ができる、というものではなく、ネットによる選挙運動が可能になるというものです。したがって我々有権者にとっては直接的なメリットというのは見えにくいものかと思います。とはいえ、選挙前、ネット選挙解禁と聞いて期待できるものもありました。それは以下の二つです。

 

 ① 候補者の意見や人となりが分かる。

 

  これまでの選挙では、各政党の主張などはテレビ・新聞で知ることができても、各選挙区の候補者の主張や人となりとなるとほとんど情報にアクセスすることが出来ないのが現状で、私自身、知名度や政党で選ぶことがほとんどでした。ネット選挙解禁により、単純に候補者へのアクセスが増えることで、投票行動の参考となる情報がより多く得られることが期待できると思いました。

 個人的には、政党が多党化、世の中の課題もそれに対応する政策も複雑化する中で、各政党の公約だけを見て、投票先を判断するのは難しいのではないかと考えています。その際に、重要になるのは実際に立候補した人がどうゆう考えを重視し、どんな人かだと思います。ネット選挙ではそのあたりの情報に触れられるという期待があったわけです。

 

 ② ネットという媒体で、候補者と有権者が双方向に意見を戦わせることで政策論議が深まる。

 

  これまでの選挙運動は、TVや街頭演説など限られた時間でさらに一方的な主張でした。主張の内容も、キーワードや名前を連呼するようなもので、政策の主張自体も表面的なものも多かったです。ネットという媒体は、文字・動画情報としてある程度の保存性があるので、腰を据えた政策の主張が展開できます。ここまでは①にも通じることですが、ネットではさらに、活用次第で有権者の意見もダイレクトに候補者にぶつけることができます。そこで政策論議が深まることが今回の選挙で期待されるものでした。

 

 

 

 さて、実際はどうだったのでしょう。結論を先に言うとあまり期待されたような効果はあがらなかった。むしろ政策論議が深まるどころか、ネットでの有権者の発言が、選挙運動のマーケティング分析に活用される始末だったともいえます。

 

 まず、①の候補者の意見や人となりが分かる、ですが、少なくとも私の選挙区においてはあまり今までと変わらない状況で、相変わらずのどぶ板選挙といいますか、名前連呼や街頭演説が中心の選挙で各候補者の主張が伝わりにくかったといえます。

 一応、各候補者ツイッターなどのアカウント登録もされていたようですが、ほとんどが演説場所の「お知らせ」にとどまっていたように思います。動画も街頭演説の様子をそのままアップロードされており、その内容はこれまでのキーワード演説でした。

 そうなると、②の政策論議も①が前提となっている面もあるので、ほとんど議論が戦わせるしくみが無かったといえます。

 

 先日のNHKのネット選挙検証の番組では、ツイッターにおけるつぶやきのビッグデータを活用した選挙運動として、有権者の意見を参考に主張する表現を変える(原発再稼動という直接的表現から、安全が確認できなければ再稼動しないという消極表現へ)など紹介されており、本来、有権者と候補者の双方向が期待されていたのが、逆に有権者の心理を利用されているような気がして残念でした。

 

 自分が聞きたいことと政治家が主張したいことは違う、そのギャップを解消する、そういった可能性は、政治家達の活用次第でまだまだ残っているのでそれに期待する一方、政治家達も選挙に勝つことが第一になっているので、勝つために合理的な行動をとるのはやむをえない部分があるとも感じました。

 

大事なのは、選挙が終わった今もネットでの政策論議は深められる環境自体は整っていることです。これからも政治家達はネットを活用して情報発信してほしいし、私達もチェックに努めます。このように、選挙後の政治家達の言動をきちんとチェックしていくことで次の投票行動につなげることが必要であると感じています。