三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

食味ランキングとおいしいお米の条件

 

 日本穀物検定協会が毎年この時期にお米の食味ランキングというものを発表しています。このランキングは、専門の評価員による食味の官能試験に基づき、お米のランクを特AAA’BB’5段階で評価するものです。食味の官能試験は「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目で行われます。試験の対象となるのは特定の地区の品種ごとに行われます。たとえば京都産丹後産のコシヒカリは特A、といった具合です。

 

 つい先日平成25年産のお米の食味ランキングが発表されました。今年は過去最多の38銘柄が特Aを獲ったようです。これだけ多いと特Aの価値がなくなってしまうのではないかと思う一方で、これは近年各地お米のブランド化を図るなかで、おいしさアピール競争の結果ともいえそうです。ちなみにもっとも有名だと思われる新潟県魚沼県産のコシヒカリは圧巻の20年連続の特Aだということです。

 やっぱりコシヒカリが品種としては一番多いわけですが、近年の傾向として産地独自のブランド米が目立っているように感じます。山形県産のつや姫や北海道産のゆめぴりかが有名だったりします。熊本県産の「森のくまさん」「くまさんの力」といったところが変わったところでしょうか。長崎の「にこまる」は夏場の高温耐性にすぐれた品種で、近年の気候変動に対応した品種として注目されています。というわけでコシヒカリ以外の品種の台頭が激しいわけです。

 

 さて、お米の食味ランキングということで紹介しているわけですが、お米のおいしさって一体どうやって決まっているのでしょうか?ある農家の方が書いた本の中では、つぎのように書いてありました、お米のおいしさを決めるうえで、農家ががんばれるのは50%、残りの50%は精米・保管方法で30%、あとは炊き方など消費者の責任によるところが20%とというのです。というわけでせっかく良いお米を買っても保管方法が悪く、炊き方であったり炊く際に用いる水が悪ければ、おいしくいただくことが出来ないというわけなんです。

 では、農家ががんばれる部分というのはなんでしょうか?まずお米のおいしさを規定するうえで一番重要なのはやっぱり品種です。たとえばお米の主成分であるデンプン。そのデンプンはブドウ糖が直線的に繋がったアミロースと網目状につながったアミロペクチン2種から構成されるわけですが、そのアミロースとアミロペクチンの割合でお米の味を決める重要な要素である粘り気具合が決まります。この両物質の割合というのが品種である程度規定されている部分があります。極端な例でいくともち米は100%アミロペクチンでもちもちしています(アミロペクチンが多いほど粘り気が増します。)。コシヒカリアミロース含量が25%くらいでミルキークイーンでは17%とある程度決まっていて品種の壁は超えられません。ちなみにタイ米などは極端にアミロペクチンが少ないため、パサパサです。ま、パサパサなのが絶対にいけないかと言われると話は別で例えばチャーハンみたいな炒め物に相性が良いということもあります。

 品種以外のところでいくと、気候や水などが大きな要因になるといわれています。食味ランキングにおいて「品種」だけではなく、産地ごとにランク付けするのはこのためです。気候は昼夜の気温差が大きい程よいといわれていますし、水は水温が上がり過ぎないほうが良いなどといわれています。新潟県魚沼ではこのあたりの条件が良いのでしょう。

 そしてやはり栽培方法でも食味には影響あります。例えば窒素肥料をたくさんやればお米の収量は大きくなりますが、お米のなかのタンパク質含量は増えます。タンパク質が多いとお米が硬くなり、食味を大きく落とすことになります。このように農家さんの栽培技術によっても食味が変わってくるわけですから、前述の食味ランキングでも産地・品種だけでは実は不十分で、誰が作っているのか?ということも重要な要因になるわけです。ですから最終的にはお米にこだわる人ほどお気に入りの農家さんと直で取引をしているわけですね。

 

 これまでみてきたようにかなり多くの要因でお米の味が決まっています。今度買うときはそんなことを意識しながら食べてみるとよいかもしれません。