3行de感想
- 解説おじさんが笑える。3+5も笑える。
- R18やけどエロくはない。
- 引き込まれるが後味はやっぱり悪い。
色情狂 *1の女の「性」をテーマにした物語。
主人公ジョーが傷を負って倒れているところを、老人が介抱するところから物語は始まり、主人公が自分の人生を振り返りながら、エピソードごとの章立てで話が進みます。
この映画vol1,vol2があり、合計で4時間の大作となっていますが、意外とvol1.は退屈に話が進みます。原因はなんとなく言い表しにくいのですが、前半は特に、ドラマチックな展開もなく淡々と主人公の性遍歴がつづられるので、全体的にはやや冗長な印象を持ちました。さらに、この映画実はR18で「色情狂」というのをテーマとしている割には、そんなにエロくない。という特徴を持っています。単なる行為として描かれている感じです(唯一ジェロームとの行為だけは愛のあるセックスのためか、ねちっこくエロく描かれています)。そのため、性遍歴を見せられてもあまり興奮しないし、なんなら退屈にも思えたのかもしれません。
とはいえ、処女喪失の3+5の場面の演出やセリグマンの解説おじさんっぷりには笑えたり、ユマサーマンの章の修羅場場面も面白かったり、とポイントポイントでは面白く観れますし、なにより、vol1の最後以降はもう釘付けです。
え!?っていう展開とエンドロールの始まったあとの衝撃的なvol2の予告で一気に次の展開が気になる状態になります。
もうその後は主人公の行為も激しく(外国人との3P、や超ハードSM、レズビアン)なっていくとともに物語としてもスリリングになっていきます。
そして、誰もが騙されたっとなるのがやはりラストでしょう。このあたりはさすがのトリアー節なのでしょうが、はじめはあまり受け入れられるラストではなかったです。さすがにそりゃないよ、と思ったのですが。
直前の会話の「男の話だったら凡庸だ」と振り返るのがあまりにも綺麗すぎるのと最後のセリグマンの行動から、セリグマンというのはトリアー監督が考えるこの映画の観客自身なのだと考えました。
というのも、映画を観ている間はぼくらはセリグマンの解説おじさんっぷりに笑ってもいたりしましたが、実はその行為自体ぼくらが日常的にしている行為なんだと思ったのです。一見不可解な行為に意味を考える。それこそこのブログのこの記事のような映画評もそうですが。
でも最後にトリアー監督は観客にもつきつけるのです。分かったような顔をして解説している人物も、自分のこととなると欲望にまみれてるし、俗っぽいことを考えている、と。
そう考えたら、vol1で最初に笑っていたあの場面もなんだか笑えなくなるから怖いです。
でもこんな映画でもトリアーの鬱展開に比べたら、まだ見やすいのではないかな、トリアー入門としてもおすすめなのではと思いました。(長い映画ですが。)