一次産業を応援する映画シリーズ「種まく旅人」。
シリーズ第2弾の「くにうみの郷」は、淡路島が舞台でオールロケ淡路のご当地映画となっております。
この映画実は農林水産省の後援で製作されています。
ですから、ストーリーも農林水産省の官僚である主人公が、「一次産業の現場を見てこい」と言って地域調査官として派遣されるところから物語ははじまります。
このはじまりかたからして、若干、いやかなり不安を感じました。
現場を知らないエリート官僚が、実際の現場、生産者との交流を通じて成長する。そんな紋切り型の映画のカタチが想像されます。
半分その予感が当たりますが、半分は外れますが、そのハズレかたが何とも。
というのも、基本的に海彦・山彦の物語。つまり、山で農業を営む兄と、実家を出て海で漁師を営んでいる弟の兄弟の確執への話へとシフトしていきます。
え、正直栗山千明要る?って感じになります。
しかもその確執を解くのも自力、先祖から受け継がれてきた玉ねぎの原種の存在です。
え、栗山千明要る?って感じです。
かいぼりの復活の話も、なんだか兄弟問題以外は順風満帆に見えるし、なんなら兄弟が和解しなくても、かいぼり自体は出来るし・・・。
というか実際お兄さんいなくても、かいぼりできてたし、何あのみんなの説得は一体なんだったんだろうか感が激しいわけです。
さすがに一次産業をテーマにしているだけあって、農業の厳しさを率直に表現できていると思います。
特に綺麗な海では良い海苔は育たない。
イケイケだった桐谷健太の玉ねぎの契約栽培が破談になるという危うさ。
かいぼりの泥だらけの作業。
農業を、美化しすぎていない点については好感が持てました。
しかしながら、それもトリビアで終わっていると思う。
篠原哲雄監督は、前に評論した「深呼吸の必要」では農作業と主人公の心情が割とリンクしていただけに、そこは残念。
農業を直接的に表現している映画としては稀有ですが、映画的表現という点では色々とツッコミどころがある一作でした。