漫画における食や農を表現するこのコーナー
今回は食漫画の代表格美味しんぼ第2巻の感想です。
食べ比べ表現が分かりやすくしています。
第2巻は、第1巻に比べて物語に引き込む新たな展開というのはほとんどなく、食うんちく全開になっています。
しかしながら、一巻に引き続き、漫画らしく料理をめぐる「対決」の中にうんちくが表現されているので退屈することなく読みやすいのは変わりません。
対決でも、特に食べ比べの表現が面白いです。
今回でも魚の刺身のエピソードがあります。
生きた魚をその場でさばいて食べさせるのですが、あまり美味しくありません。
その美味しくなさを表現するのに、撮った魚をその場で内臓をとって殺した魚と比較するのです。
なかなか美味しさを漫画で表現するのは実は難しいです。
食というのは、基本的には味覚・嗅覚で感じるものですが、漫画では視覚的にしか表現できません。なので漫画で味について絶対的な評価を行い、読者を納得させるのは結構難しいことだと思っています。
それをこの漫画では、食材や調理法の違いを比較し、論理的に説明することで分かりやすくそれを伝えていると思います。
2巻で気になったエピソード
手間の価値
中華料理。山岡自らが豚バラ煮込みを調理し、食通を唸らせます。なんでこの人新聞記者なんてやってるんでしょう?
活きた魚
日本を代表する会社のゲストハウスで、社長をギャフンと言わせます。権威に対する批判も盛り込まれています。活きた魚をその場でさばく。収穫後時間が経ったものは、いくら活きていても、水槽で飼育されているとその間で痩せ細ってしまう。新鮮な生きた魚が美味しいとは限らないとは興味深いです。
そばつゆの深味
そばつゆを作るのにもこんな手間暇がかけられているのかと関心します。
特にだしをとるのに鰹節を90分間煮詰めるのは普通と違って驚きでした。
日本の素材
フレンチでも日本の食材を使ったものにこそ価値がある。食とは創造ですね。
包丁の基本
同じ刺身でも捌き方で随分と味が変わります。
細胞の表現は特に面白かったです。
思い出のメニュー
珍しく人情系のエピソードです。
幻の魚
久しぶりの海原雄山登場。どれだけ偉いのだこの人は。終わり方が印象的です。
中華そばの命
兄弟喧嘩別れのラーメン店。それぞれの技術が合わさって初めて真に美味しいラーメンが出来る。