前回は,京野菜の魅力をつくったさまざまな歴史や理由について,み
そこには京都の気候・風土・文化,都市と農家の交流,京料理の発展に裏
しかしながら,そんな京野菜も実は一度存亡の危機を迎えていたこ
今日における京野菜ブームの裏には,危機に瀕していた京野菜を復
今回は,高品質な京野菜はなぜ存亡の危機を向かえ,それをどう乗
大きく変化する流通構造
戦後,科学技術の発達により,世界的に野菜の品種改良が行われま
病気に強い,たくさん収穫できる,ほかの品種があまり出荷されな
さらに,高度経済成長期に入ると大量消費の時代に
従って野菜には、高い輸送性や統一の規格品が求められ
たとえば山科なす。元々京都で作られているなすといえば山科なす
↑賀茂なす、山科なす、もぎなす京都だけでも三種類ある伝統野菜
そのうち山科なすともぎナスは栽培件数10件を下回ります。
危機を救ったのは若手の料理人たち
こういった危機的状況を救ったのは,伝統ある若手料理人のあつま
大量生産の時代にあって,同一規格で美味しくない野
芽生会は市内の伝統野菜を生産する若手篤農家に呼びかけ、自分たちが料理で使うから伝統野
さらに、料理教室やシンポジウムを通じて、広く市民に伝統野菜の大切さを呼びかけます。
それを後追いするかのように行政も動きます。昭和63年に京の伝統野菜を明確に定
このあたりの運動が京の伝統野菜が今日も存続し、全国展開したきっかけとなっ
ちょうど昭和 60年代頃の話になります。
伝統文化に裏打ちされた確かな品質の野菜が存在したこと。
時代の流れで取り残されつつあった野菜が,若手料理人や生産者た
これらのことが、いまの京野菜のブランドにつながっていると言っても過言ではありません。
一度途絶えしまうと復活させることの出来ない伝統野菜のタネ。大切にしていきたいですね。