最高峰の料理人の仕事や料理哲学を追求するNetflixドキュメンタリーシリーズの「シェフのテーブル」。
第3話はパタゴニアの料理家フランシス・マルマンです。
フランシスの料理シーンは異様な雰囲気で、観るものに強烈な印象を与えるでしょう。
一言で言えばワイルド。パタゴニアの大自然の中で、肉や魚を焚き火で調理しています。分厚い塊の肉を豪快に焼いたり、動物の皮を剥ぎ取って、干物のように開いたものを串に刺して、焼いたり、鳥の丸焼きは上から紐のようなもので吊るして焼いたり。
その服装も、パタゴニアだけあって、まるでアウトドアです。
シェフのように白い装束にコック帽は見当たりません。
中でも特徴的なのは、パタゴニアのクラント料理です。穴を掘って、そこにバナナの葉を敷き詰め、野菜を包んで、火をつける。その後、穴に土を被せて蒸し焼きにする。
伝統いうよりは、原始的と言ってもいいかもしれません。パタゴニアには実際このような料理の痕跡が遺跡的に残されているとのことです。
また、魚のマスをキッチンペーパーに包んでその後、泥に包んで、窯焼きに入れるというのもショッキング。
でもきっとそのようにじっくり焼いた食材は、石焼き芋のように絶妙な甘みを生み出すのでしょう。
マルマンは語ります。自然の導きの中で「自由こそ全て」なのだと。その姿には、もはや悟りの境地のようなものを感じました。
マルマンは、そのような世捨て人のような印象とは裏腹に、ベンチャー企業のような経営者のような発言もします。
常に新しいことに挑戦し、リスクを取れ!
チームは大切。仲良くなったら、それが別れの時。それ以上同じ環境で働いても、あとは退屈を生むだけだと。
フランスで、しっかり下積みを積んだにも関わらず、いまはパタゴニアの大地でワイルドな料理を行う。自分で、自由を築いてきた彼の生活には男の浪漫が溢れているとかんじました。