最高峰の料理人の仕事や料理哲学を追求するNetflixドキュメンタリーシリーズの「シェフのテーブル」。
今回はスウェーデンの辺境の地でレストラン「フェーヴィーケン」のヘッドシェフ マグナス•ニルソンです。シーズン1の最後を飾るだけあって、非常に独創的です。特に舞台となる北欧の風景はどこか幻想的で、こういった番組でなければ、味わえない雰囲気を楽しめます。
レストランを開店するときに、立地はかなり肝心な気がしますが、このフェーヴィーケンは、およそそんなマーケティング的なことは考えられていないだろうという感じの場所に建てられています。
そこは雪国。大自然の中で、家はポツポツとしかたっておらず、冬には雪に閉ざされているのです。
北欧の辺境の地というだけで、チャレンジングなことですが、マグナスのはそのような場所で、さらに地産地消にこだわります。
でも極寒という制約が、いろんな発想を生んでいるような気もします。
どうしても雪に閉ざされて、旬の食材が手に入りにくい。そんなときには保存食を使います。
漬物など瓶詰めや乾き物などの先人の知恵を駆使した保存食が、お店の倉庫に保管されているのです。
マグナスの料理には、他のレストランと違ってハッキリとした彩の良さはありません。
でま噛むと旨味が滲み出るような滋味の効いていそうな料理が多いです。
寒さの厳しい土地だからこそ、工夫のしがいがあり、その土地でしか食べられない料理が生まれるのだと感じました。
チームとしての料理への取組も面白いと感じました。通常大きなレストランになると、作業は基本分業になります。下っ端が食材を切り、その上が下ごしらえし、その上が調理をし、料理長が盛り付けをする。
フェーヴィーケンでは、全員が料理のはじめから最後までを担当します。
効率では前者ですが、人材育成の観点では後者に軍配があがるでしょう。
コースも面白くって、料理を出すタイミングとかが全て計算されています。例えば序盤はテンポよく料理が運ばれて、中盤はスローペース。終盤はまたテンポが上がる。
コース料理は、色調こそ、地味目ですが、北欧の大地をそのままいただく、といった趣きを感じました。
なかなか行きたくても行けないのだろうなぁ。