誰もが幸せになる魔法がかかった映画
カメラを止めるな!を観た時、映画制作への熱意みたいなものに触れ、クリエイティブなものに対する憧れを感じました。
映画制作への熱意という意味では、「ブリグズビー•ベア」も愛に満ちた作品であったと思います。
この作品では、熱意に胸が震えるのとはまた別の意味での感動がありました。熱意というよりは、愛、映画制作への愛から生まれる「魔法」といった方が良いかもしれません。
誰もがを幸せにするような魔法が、この映画全体にかかっているそんな印象を受けました。
あらすじ
主人公のジェームスは、赤ちゃんの頃誘拐され、25年間誘拐犯である偽の両親の元で育てられます。ある日、警察の捜査が入り、本当の両親の元に戻りますが、彼にとっては、元の25年間の生活で暮らしてきた世界が全てでした。ジェームスは監禁中ずっと観てきた子供向け番組「ブリグズビー ベア」を心の拠り所にしていました。しかし、じつはそれはジェームスを育てるために誘拐犯が毎週作って見せてきたことが判明します。ファンだった彼は失意しますが、やがて、その続きを自分で作ることを志し、周囲を巻き込んで行きます。
登場人物全員良い人
この映画に溢れる多幸感は突き詰めると登場人物全員良い人っていう。
敵対しそうに見えた警察。
はじめは、ジェームスに悪い遊びを教えるんじゃないかと思われたスペンサー。
そして、「普通」の暮らしをさせたい、「ブリグズビー」からそらせたい、実の両親。
その誰もが、最終的に主人公ジェームスの映画づくりを手伝います。
個人的にはスペンサーがいい奴だし、かっこよすぎだし、そして偽の親であるマーク ハミル。あのナレーションの声を出すシーンの愛おしさ。
童心にかえったときの登場人物たちの輝きは、誰の心にも響くと思います。誰もがしまっていた思い出という琴線に触れるのです。
ご都合主義だが、成長はしっかり描かれる普遍性
ともすれば、ご都合主義とも捉えられるこのストーリーですが、監禁相手に教育番組をみせていたという設定自体がある種のファンタジー性を帯びているので、おとぎ話的に楽しむと思えば有りだと思います。
それにご都合主義とはいえ、物語の中ではきっちり主人公ジェームスの成長が描かれています。
あの無垢で純粋なジェームスが、ラスト映画の発表会を経た後の大人になった精悍な顔立ちが忘れられません。
ブリグズビーの制作を通じて、ブリグズビーを卒業する。
子供らしい番組、子供らしい趣味であってもそれを突き詰めると、立派な人生を送れる。
自分にとっても「ブリグズビー」的なものがなかったか、と思わず過去を思い返したい気持ちになります。
人生を豊かにするエッセンスが詰まった、折に触れて見返していきたい映画になりそうです。
最高!
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