三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

映画「見えない目撃者」感想レビュー 本場韓国より面白い!? 傑作スリラー誕生

面白かった! 

映画を見ていて予想外の傑作に出会った時ほど嬉しいことはないですよね。

 

韓国製スリラー映画の日本リメイク。ジャンルを聞いた時点で、劇場公開時にはスルーしていた「見えない目撃者」ですが、ネットでの評判も聞こえてきたのでレンタルしてみたら、いやはや傑作でした。

 

韓国版は未見ですが、日本版の方が良いという意見も出るのも納得の出来でした。

スリラーというジャンルで、日本が韓国に勝てるわけがないと、正直思っていましたが、韓国映画のエッセンスが、組み込まれてた傑作でした。残酷描写も攻めた表現がされていたし、スリラー好きにも満足な一作だったのではないでしょうか。

 

ミステリー、スリラーとしての面白さにもびっくりですが、主人公の成長物語としての人間ドラマも優れていました。映画全体に奥行きが出ていて、ジャンルを超えて感動を生み出す感覚は、アカデミー賞も受賞し、世界でも認められた韓国の映画監督ポン・ジュノにも通じます。

 

調べてみれば、「見えない目撃者」の監督は森淳一さん。

私が大好きな映画「リトル・フォレスト」の監督さんでした。全然ジャンルが違う映画なのですが、やはり根底で私の好みと通じるものがあるのかな、と感じました。

 

 

mqchaso.hatenablog.com

 

目の見えない探偵のミステリー

 

見えない目撃者は、はじめはミステリー映画要素多めではじまります。

目の見えない主人公がどう犯人に辿り着くかの探偵ものと言っていいでしょう。

主人公浜中なつめ(吉岡里帆)は、警察学校出身で、無事警官に任命を受けるも、不慮の事故で視力を失ってしまいます。警官もやめてしまい失意の毎日でしたが、ある日、車とバイクの事故に遭遇。車の中からは、「助けて」という女性の声が聞こえるも、そのまま車は去ってしまいます。事件性があると見て、主人公なつめは警察に訴えかけるも、視力がないこともあり真剣に取り合ってくれません。そこでなつめはもう一人の目撃者を探して、独自に捜査を開始しはじめます。

 

目の見えないなつめが感知する世界の映像表現は、もしかしたら本当に障害者の方はこのように感じているかも、と思わせるものでした。独特の映像表現となっています。画面が真っ白なキャンバスになったと思ったら、なつめが触れたもの、嗅いだ匂い、聞こえた音から、なつめの脳内で分析された世界が、キャンバスに風景が描かれていく事で表現されていくのです。

女性の声が聞こえた時も、そのように表現されていて臨場感がありました。

 

吉岡里帆高杉真宙の関係性も熱い

本作は、主人公なつめと、高杉真宙演じる国崎春馬とのバディームービーでもあります。はじめ春馬は事件なんか関係ない、といった雰囲気で主人公と距離をとっていましたが、主人公の犯人捜索にかける熱意から、だんだんと協力関係になります。終盤の犯人と対峙するシーンでは、スマホを通じて、なつめの「目」となり、頼れるパートナーになっていきます。

勇気に溢れていてなんでも自分で行動するなつめが、高杉真宙を頼ることで、なつめが心底怖い思いをしているのが、伝わってくるシーンになっていました。

 

また、高杉真宙が、彼女の捜査に身を挺して協力することが、社会と関係をもとうとしなかった、将来に希望すら見出すことができていなかった彼の成長物語につながっていきます。

このあたりは本当に良くできています。

登場する刑事さんもそうですが、主人公なつめの成長物語を描きながら、登場人物一人一人の人間ドラマもうまいこと描かれています。

 

ミステリーからスリラーへのジャンル切り替え

 

本作の面白いポイントは、ミステリーからスリラー映画にジャンルが切り替わる事です。

はじめは探偵ものと思いきや、だんだんと事の深刻さが浮き彫りになっていき、小出し小出しで、スリラー要素がじわーっと出てきて、あるポイントで完全にミステリーからスリラーに変わるのです。

 

最初にその兆候が上がるのが、「救さま」。

家出して身寄りもなく、社会から弾かれ、一度入ったら抜けられない風俗の世界にはまり込んでしまった女の子たちを救い出してくれるのが、救さま。この不気味なネーミングとあり得そうな設定が急に嫌な空気を醸します。

急にカルトな要素が飛び込んでくるので、この先の展開がどうなるのか、ただの犯人探しではなさそうだ、と続きが気になり始めます。

 

最悪なのが女子高生の遺体の発見シーン。

ここで、序盤に連れさられた女の子の話だけでなく、猟奇殺人事件の話に切り替わるのです。

序盤では、猟奇殺人の「匂わせ」を感じさせてこなかったことから、予想外に凶悪な犯罪だった事に驚かされます。観客を驚かせるための意図的なものだと感じました。このシーンは予告でも紹介されてはいるんですけどね。

 

そして、真相に触れるシーン。

真犯人があいつだったのかー、という驚きは、実はそんなに大きくありません。

ただ、あの真犯人の外見とのギャップも相まって、ゾッとする感覚が際立っています。

 

真犯人が分かってからは、13日の金曜日ではないですが、犯人に追われる恐ろしさに切り替わります。今まで犯人を追い詰めていたはずが、今度は犯人に追いかけられるんです。

 

それでもラストは、主人公が目の見えないことを活かした「逆ドントブリーズ」現象も起きて異様な盛り上がりを見せます。ドントブリーズは、目の見えない老人に、家の中で追い回される海外の傑作スリラーです。真犯人の作業場が地下にあるのもドントブリーズ的だったと思います。

正直この映画にドントブリーズ的盛り上がりを期待していなかったので、またも驚かされました。

 

スリラーとして踏み込んだ残酷描写

 

女子高生の遺体といい、本作では割とはっきりと、残酷描写が描かれます。

日本映画にしては結構踏み込んでいると思います。

特に吉岡里帆が出ている映画でここまで踏み込むとは思っていなかったです。

 

猟奇殺人という事で、耳、口、鼻など身体の欠損がわりとしっかりと描かれています。

刑事の末路も、ちょっとコミカルなテイストもあって、そのあたりも韓国のエッセンスが詰め込まれていると思います。

 

単なるスリラーに終わらない。ラストは主人公の成長物語に

 

そして吉岡里帆演じる浜中なつめの成長です。

彼女は映画の最も冒頭、悲惨な体験をします。不慮の事故で弟を亡くしてしまう悲しみが描かれます。考えてみればこの時点で割と日本映画には見られないハードな展開でした。

 

弟のミスがあったとはいえ、彼女は責任を感じてますし、トラウマにもなっています。

そして何より、警察官を続けられなくなった忸怩たる思いも持っています。

この事件を通じて、犯人と向き合うことは彼女にとって、過去と向き合う事でした。犯人に「打ち勝つ」ことは、過去に「打ち克つ」ことだったのです。

彼女が、最後真犯人と対峙した時に叫ぶセリフと共に、犯人をやっつけるシーンは、そのことが伝わる感動のシーンだと思いました。

まさか、ここまでこんなに怖い思いをしていたのにここにきて感動の涙を流す事になるとは思いませんでした。

 

このシーンだけでこの映画が2段も3段もレベルがあがったと思います。

ポン・ジュノ監督にも通ずると、はじめにいったのはこのシーンがあったからです。

 

ここまで、日本映画なのに、意外と面白かったという表現をしていましたが、韓国映画と比べても遜色のない出来になっていると思います。

 

韓国映画、スリラー映画、サスペンスこれらのジャンルに引っかかる人は必見の映画になっていると思います。

 

 

見えない目撃者

見えない目撃者

  • 発売日: 2020/01/18
  • メディア: Prime Video