それはまだ、私が小学生だった頃のことです。
ゲーム少年だった私、いや、私も含めた同世代の誰もに、衝撃を与えたゲームがありました。
その名は、ファイナルファンタジー7です。
初代プレイステーションで、初めて発売されたファイナルファンタジーのナンバリングタイトルです。
発売当時プレイステーションを持っていなかった私が、友人宅でそのFF7のプレイ画面を見た時の驚きは忘れられません。すぐに親にプレステを買ってくれと迫りました。
FF7はこれまでの作品に比べて、画面も3Dになり、グラフィックも大幅に進化していました。
映画のような3D C Gのリアルな表現に誰もが驚き、感動したのです。
それから20年以上の時が過ぎました。
今年の4月、みんなが熱狂したFF7が、プレイステーション4においてリメイクされます。
その名も「FF7リメイク」。
名前で飾ってきたファイナルファンタジーシリーズが、名前でなく中身で勝負するという意気込みを感じました。
そして先日、ついにそのFF7リメイクの体験版が配信されました。
早速プレイしました。
超美麗な映像表現は、確かに正統進化しています。
体験版の時点で、綺麗なグラフィックとともに、評価されているのが、
クラウドがヌルヌル動く、です。
これは、ゲーム内のキャラクターの動きの処理速度の高さを表します。
FF7リメイクに限らず、最近のゲームではよく使われる表現です。
映像の美しさだけでなく、ヌルヌル動くが、FF7リメイクの特徴です。
正直、FF7リメイクが、初めてこの動きをPS4で実現させたわけではありません。
それまでのいろいろなゲームで、追求されてきました。
裏を返せば、こういった技術の進化が、FF7のリメイクを押し進めた、と言って良いでしょう。
そんな、ヌルヌル動くの波が、映画界にも押し寄せてきました。
アン・リー監督で、ウィル・スミス主演のアクション映画「ジェミニ・マン」です。
アン・リー監督といえば、「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」や「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー賞監督賞も受賞した巨匠です。
それら2作と比べると、今回の作品はバリバリのアクション映画。
雰囲気が違う作品を送り出してきたな、という印象です。
見た目はアクション映画ですが、非常にざっくりとしたあらすじをいえば、
仕事一筋生きてきて引退を考えている暗殺者ウィル・スミスが、若い頃の自分に向かって、
「若いうちは、彼女のひとつでもつくっていっぱい遊んでおけよ」
って言う話なので、一筋縄ではありません。
ストーリーはともかくとして、この映画の見どころは、そのアクション一点に尽きると思います。
先ほど紹介した、最新ゲームの「ヌルヌル動く」が、映画でも楽しめる不思議な作品になっています。
そもそもこの、ヌルヌルの正体は、ハイフレームレートと呼ばれるものです。
ひらたく言いますと、パラパラ漫画のコマ数になります。
パラパラの数が多ければ多いほど、漫画内の動きは滑らかに表現されるのです。
今回のジェミニ・マンは、毎秒120フレームで撮影されています。
通常の映画は、24フレームなので、実に5倍。
最新のゲームでも、60フレームで表現されることが多いので、本作は突出しているといえます。
この高いフレームレートは普段、ゲームで体感しているので、アクションシーンは実写でありながら、ゲームをみているような気持ちになるから不思議です。
具体的なアクションシーンでいうと、やはりバイクでのチェイス及びバトルシーンでしょう。
主人公のウィル・スミスがクローンの若いウィル・スミスと、バイクで追いつけ、追い越せをします。
その時のバイクの動きが、まさにヌルヌル動くのです。
フレームレートが高い方が、現実にバイクが走っているのをみているのと近い感覚になると言われています。ただ、このヌルヌル感はゲームでしか味わったことがないので、実物よりもむしろゲームに近い表現に見えてしまうのです。それが私には、少し違和感でした。
ここは、ゲーム経験者と、そうでない人で評価が分かれるところかもしれません。
いずれにしても、バイクチェイス後、バイクを武器にして戦う表現は、もしかしたら、このハイフレームレートでしか出来ない表現かもしれないと思うと、一見の価値はあると思います。
昔にゲームして以来、最近ゲームしてなかった人が、最新のものに触れると、そのヌルヌル感に驚くと思います。
もしかしたら、今回同じように、しばらくアクション映画に触れてこなかった人が、本作を観ると、その進化に驚くかもしれません。
映画の出来不出来は別として、映画好きなら、最先端技術に触れるという意味でも、観ておいた方が良い作品だと思います。
思えば、アン・リー監督は「ライフ・オブ・パイ」でも、 C Gでのトラ表現や大海原の表現に凝っていました。
私自身は、同作はストーリーの作りを評価していましたが、アン・リー監督は、映画ならではの映像表現の追求心をお持ちだということも今回見て分かりました。
本作ジェミニマンは、興行的には振るわなかったようですが、今後も目が離せない監督であることは間違いありません。
FF7リメイク体験版、プレイした人もそうでない人も、最新ゲームに対する最新映画という意味でも、是非体験してみてください。
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