おすそわけしたらよろこばれたニンニク
「たくさんとれたね」
貸し農園に行くと、大体いつもいるおばあちゃんが今日も声をかけてきた。
おばあちゃんは、世話焼きで、アレやコレやと野菜の栽培のことを教えてくれます。
(そして、監視に近い形で我が畑を見守ってくれている。)
世話焼きばあちゃんも、私がニンニクを収穫しているのを興味ありげにみていました。
「立派じゃないか」
「何もしていないですけどね」
そう、確かに私は何もしていません。ニンニクはある程度放っておいても作ることが出来る作物なんです。
そんなニンニクをじーっと見ていたから、私はあることに気付いて慌てて世話焼きばあちゃんに言いました。
「あ、よかったらおひとつどうぞ」
「いいか?そしたら遠慮なくひとつもらうわ」
あぶないあぶない、もうちょっとで私は気の利かないレッテルを貼られるところでした。
世話焼きばあちゃんは、きっとニンニクが欲しくて、世話焼きでなく、「褒め」てきたのだと思いました。
今回おばあちゃんに、ニンニクを渡すことができてよかったなと思っています。
貸し農園では、物々交換が行われています。
私自身も何度か菜園の利用者に野菜をおすそわけしてもらいました。
私といえば、いつもそんなに良いものができるわけでもないし、人に譲れるほどたくさん収穫できるわけでもありません。
いつももらうことばかりで、あげることができていなかったのです。
だから今回、こうやってニンニクが喜んでもらえたのはとても嬉しかったのです。
そのまま収穫したニンニクを実家の親にもお裾分けしました。
するとこちらもいたく喜んで。
「すごいね。ニンニクって難しでしょう?助かる」
ニンニクが難しいと感じているのは、たまたま親が作った時は病気か何かにやられたのだと思います。ニンニクはそんなに難しくはありません。ほったらかしでもできました。
でも、スーパーに並んでいるようなまるまる太ったニンニクを想像すると、そこはやっぱりプロとアマチュアでちょっと違います。。写真で見てもらってもそのばらつきの違いはわかると思います。
でも今回ニンニクのお裾分けして、ニンニクがいかにありがたられるかが分かりました。
貸し農園を借りたらまずはニンニクを栽培することをお勧めできるのでないかと思いました。
貸し農園のあの世話焼きばあちゃんは、ニンニクを譲るとなぜあんなにも喜んだのでしょう?
答えは簡単です。
ばあちゃんは、ニンニクを作っていないからです。
作っていないものをもらえるのであれば、それは嬉しいことです。
実は、これは世話焼きばあちゃんだけの話ではありません。
他の利用者の皆さんもニンニクを作っていません。
貸し農園でニンニクがあまり栽培されていなかった理由
だからニンニクがありがたられるのです。では、なぜありがたられるのに、みんなニンニクを育てないのでしょうか?
それはニンニクは食材としては魅力でも、園芸としては面白味にかけるからです。
貸し農園に借りている人は私含め、収穫した野菜の美味しさを求めるのはもちろんですが、野菜の栽培過程そのものを楽しんでいます。
実際に「○○を育てるのは面白い」といった表現を聞くことがあります。
それは栽培過程を楽しんでいるのです。これこそは園芸と呼べるでしょう。
ニンニクは基本的に放任で育ちます。
肥料はやりますが、トマトやなすのような途中の管理はほとんどいらないですし、白菜やブロッコリーのような育てていて蕾が大きくなったり、葉っぱが巻いたりと楽しいと思える要素は少ないです。
葉っぱは地上にずっと出っ放しですし、地下は見えないですから。
あとニンニクは、ものすごく栽培に時間がかかります。
秋ごろに植えて次の6月になるまで、ずっとじっとしています。
私の貸し農園は月5,000円。とても高いです。
とても高いのに、大して見た目にも変化に乏しいニンニクが居座っていたら、もったいないと思います。
限られたスペースなので、効率よく回していきたい、と思うのが本音だと思います。
だからこそ、新しく貸し農園を借りるような人にこそ、ニンニクを育てると良いと思います。
というのも、他の人が育てていないので、自分だけの楽しみができるし、人へのおもてなしにも使うことが出来るからです。
ニンニクのおすそ分けで貸し農園の利用者同士のコミュニケーションに
幸いニンニクが出来るのは、夏野菜が収穫する前の時期です。
ナス、トマト、きゅうり などオーソドックスな野菜を育てている人にとっては、何も収穫するものがありません。
みんなが何もなくて困っている時に、お裾分けするのが良いと思います。
特に初心者は貸し農園で他の利用者に一定認めてもらえることが重要です。
やはり、不特定の方が使っていらっしゃるので、農園で良い印象をもたられていないと後でひどい目に遭います。
実際、貸し農園に行くと、たまに他の利用者が、文句を言ったりしているのが耳に入ってきます。
それでみんながあまり作っていないニンニクをあげることで、貸し農園で認めてもらうのです。
自分にとっても、スーパーで買うとそこそこの値段のするニンニクが収穫出来ると、端境期でも収穫の楽しみを楽しめるので、なんだか得した気分になるわけです。
というわけで、これまで初心者はニンニクをいかに作るべきかについて語ってきました。
野菜の品目に注目して育ててみると意外なところで周囲にウケるかもしれません。