三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 尻上がりに語られる女性たちの蜂起

ゴーストバスターズの女性版に代表されるように、今、ハリウッドでは女性チームものの映画が人気を博しています。

今回紹介する映画「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 バーズオブプレイ」もそのひとつです。

 


でも、私は、今作が女性チームものだったとは知らずに鑑賞していました。

ハーレイ・クインという圧倒的な見た目のキャラクター。

ポスタービジュアルをみても、ハーレイ・クインだけが大きく描かれています。

このポスターからゴーストバスターズチャーリーズ・エンジェルのような女性チームものはなかなか想像できません。

 


アベンジャーズのポスタービジュアルだって、アイアンマンやキャプテン・アメリカが主人公級でクローズアップされるものの、全員が一応きっちり写っています。

 


きちんと予告やあらすじを読んで、映画に臨んでいれば、本作が女性チームものであることはちゃんと分かっていたと思います。

 


でも、私のように、ポスターだけの印象でこの映画に臨んだ人は、ある意味新鮮な驚きがあったでしょう。私はありました。

結果的にはそれで良かったと思っています。

 


実は、今作が女性チームものだってわかるのは、終盤の方なんです。

それまではハーレイ・クインの物語として進んでいきます。

 


そもそもハーレイ・クインは、同じくDC映画の「スーサイド・スクワッド」でジョーカーの彼女として登場するキャラクターです。

私自身は、スーサイド・スクワッドを(評判があまりよろしくないこともあり)観れてなかったので、このハーレイ・クインというキャラクターにさしたる思い入れもありませんでした。

 


本作は、ハーレイがジョーカーと別れるところからはじまります。

ハーレイは、ジョーカーに依存することで好き放題に生きてきました。

 


ハーレイの破局は、ジョーカーからの自立を意味します。

でも、そもそもハーレイの背景を理解できていないうえで、いきなり冒頭からジョーカーへの依存からの自立が語られても、正直ピンとこないものがありました。

 


というか、ジョーカーの恋人だったら、そもそもハーレイはヴィラン(敵役)なのではないのか? という疑問も湧いていました。

 


スーサイド・スクワッドを観てから鑑賞していたら、もう少し違う感想を持っていたのかもしれません。おそらくそこでジョーカーとハーレイの関係性が描かれていたのでしょう。

それを観ていない私にとっては、序盤はあまり乗れなかったのです。

 


でも、終盤に差しかかって、バーズ・オブ・プレイが結成されるのを観て、ハッとさせられました。

あぁこれってこういう話だったのね。

 


ここにきてようやく、物語のテーマが見えたのです。

それは、女性の自立でした。

 


男性に支配された階層社会の中で生きる女性刑事。

マフィアに支配された歌姫。

暗殺家として育てられ復讐に燃える女性。

 


階層社会、マフィア、復讐、それぞれからの自立を目指す女性たちがひとつの共通の目標を持って一致団結する姿にはグッとくるものがありました。

 


個人的には、ハーレイ自身よりも、心が動いたくらいです。

変な話、彼女が一番浮いていたくらいです。

でも、ハーレイが中心となって動いていたからこそ、周囲が巻き込まれていったとも言えるわけなんですよね。

本作は、ハーレイ大活躍! の物語ではなく、ハーレイが女性たちを巻き込んでチームにしていった話でもあると思いました。

 


とにかく、バーズ・オブ・プレイが結成されて以降は、評価が180度転換しました。

この映画面白いじゃないか。

女性たちの自立というテーマもさることながら、アクションシーンは一見の価値ありです。

 


いや、これも実をいうと序盤のアクションシーンについては、正直あまり良いと思ってませんでした。

 


特に警察襲撃シーン。

なんだかハーレイがカラフルな煙玉みたいなものをぶっ放して警察を襲撃するのってなんだか現実離れしすぎてて。さらに言えば、屈強な警察官相手に、肉弾戦で戦いきるのもなんだかやっぱり納得感がなかったのが正直なところなんです。

 


でも、終盤のバーズ・オブ・プレイ結成後の一大アクションシーンは、一転印象が変わります。

 


銃器をたくさん持った集団に、ほとんど生身の人間が全うに戦うと言うのは、序盤と同じく現実離れしていると言わざるを得ません。

 


でも、終盤のこのシーンは、どこかの遊園地のアトラクション跡地で行われます。

その場面設定とあいまって、その現実離れしたバトルが絶妙に抽象化されるのです。

 


様式美というか、ある種アーティスティックな快感すらあるバトルシーンになります。

 


それは、ハーレイが全く必然性がないにもかかわらず、ローラースケートを履いて戦闘するシーンに表れています。それはただ、「かっこいいからやっている」とも取れるわけです。

まぁ、さすがに歌姫の○○には笑ってしまいましたけど。

 


というわけで、序盤のテンションの低さから考えると、尻上がりに物語を楽しめる作品になっていました。

最後のハーレイの選択も安易な方向じゃなくて良かったと思っています。

重たいテーマも抱えながら、ライトなエンタメとしても楽しめる。

終わってみれば、満足度が高い作品になっていました。

アメコミ未体験でも楽しめると思いますよ。

 

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(吹替版)