三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

子育て交渉術

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「いやだ! 帰りたくない」

また、4歳になる娘のアスカがごねはじめます。

 

公園で遊びに出かけた時。

家族で買い物に出かけた時。

おじいちゃんの家に帰省した時。

家に帰りたがらない子どもの説得に苦労するのは、子どもを持つ親であれば、誰もが経験したことのあることではないでしょうか?

 

子どもがいうことを聞かない時私は、

「早く帰りなさい」と怒鳴ったり、

「お母さんも怒るよ」とお母さんの力を借りたりします。

ですが、一度帰りたくないスイッチが入ってしまうと、大概は言うことを聞いてくれません。

 

ひっくり返ったカブトムシのように、地面に寝転んで手足をジタバタさせたり、

粘着シートのように地面にくっついて動かなくなってしまいます。

 

そんな時は、もう最後の手段。

無理やり腕を引っ張ったり、抱きかかえて、帰ります。

 

すると帰りは、大泣き状態。

無理矢理連れて帰るのに苦労する上に、子どもが遊びたい気持ちも分かるだけに、大人の都合で帰らせるというちょっとした罪の気持ちも沸いてしまいます。

 

冒頭は、コロナの緊急事態宣言が出ている時の話で、

子供を公園に遊びに連れて行った時のことでした。

 

「もうお昼の時間だから帰るよ」

「いやだ」

 

「帰らないなら、置いて帰っちゃうよ」

「いやだ」

 

「なら帰ろう?」

「いやだ」

 

いつものパターンで、何を言っても「いやだ」の状態になってしまいました。

その時昔読んだ子育て本を思い出しました。

 

本の名前は忘れました。

でも、確かこんなことが書いてありました。

「○○しなさい」と言っても子どもは動かない。

「○○すると、△△みたいな良いことがあるよ」

 

閃いた私はこう言いました。

「今日のお昼ご飯は、アスカが好きなラーメンだよ! 帰ろう?」

 

 

「いやだ」

 

(ちーん)

 

仕方がない、いつものように、後は無理矢理帰らせるしかないか。

そう思って、覚悟を決めた時、もう一つのアイデアが浮かんできたのです。

 

それは、最近読んだ自己啓発のような本でした。

故・瀧本哲史氏の本です。

京都大学で教えていた起業論が爆発的な人気を誇っていた瀧本氏。

東京大学で若者向けに開催された講演会の内容が収録された本です。

瀧本氏の若者に対する熱いメッセージが込められていて、あぁ自分も10代、20代の時に出会いたかったなぁ、という本です。

そこには、交渉術のテクニックが書かれていました。

 

「人に行動を起こしてほしいのであれば、相手の目的や欲望に耳を傾ける」

 

というものでした。

 

そこで私は、アスカちゃんの欲望に耳を傾けました。

 

「(もっと遊びたいから)いやだ! 帰りたくない」

そう、アスカはもっと遊びたいのです。

もっと遊びたいと思っている人に、美味しいお昼の話をしても響かないわけです。

 

それでは困った。

どうしたら、アスカちゃんは帰ってくれるか。

頭を捻らせて一言思いつきました。

「じゃあ今日は、いつもと違う学校の横を冒険しながら帰ろう。」

 

「冒険? 行く行く!」

そう言って、小走りで公園の出口まで駆け寄ってきたのです。

アスカの態度の急変に自分でもびっくりしました。

 

学校の横を通って帰るのは、確かに遠回りでした。

でも、帰ってくれるなら、それでよかったのです。

 

アスカは結局、冒険できたことに満足して、家まですんなりと帰りました。

私は、子どもが帰ることそのものを「遊び」にすることで、子どもの欲求を満たしながら、家に帰るというミッションをこなすことに成功したのです。

 

アスカの心の欲求を満たすことを考えることが、その後の行動を促す可能性を感じたのです。

このテクニックは、別の日でも活躍しました。

今度はお昼でなく、夕方に公園に行った時のことです。

例によって、「まだ遊びたい」と、ごねはじめましたが、こじらせる前に納得してもらおうと、

 

「暗くなったら、お化けが出るよ。お化けが出ないうちにこっそり帰ろう」

そういうと、娘たちは

「こわいこわいー」

と言いながらも、満面の笑みで、家路に着きます。

 

「帰り道」をエンターテインメント化させたのです。

 

そう、考えてみれば、子育ては常に相手との交渉と言えるかもしれません。

子どもの欲望と親がしてあげたいこと・して欲しくないことの、常にせめぎ合いです。

 

子どもは自分の思いをうまく言葉にすることができません。

その意味で、相手の要求を検証しやすいビジネス現場での交渉よりも、ハードな調整力が求められるかもしれません。

 

子どもは、想像以上に複雑な心境を持っています。

先ほど紹介した事例も、たまたまうまくいっただけで、他にもどうしようもなくなるようなことがあることもしばしばです。

 

相変わらず、子どもとの交渉は難航するのです。

そんな時は、ついつい子どもの言いなりになってしまうこともあります。

でも本当に大切なことは、妥協してはいけないときもあります。

 

だからこそ、その二つの折り合いをつける交渉術を学ぶ必要があるのです。

 

瀧本さんは、本の中で、若者に時代を生き抜くための「武器」を配ると言っています。

そしてその「交渉術」こそが武器の一つです。

 

子育てにおいても、「交渉術」が武器になる事がわかりました。

さて、今日も子供達がわがままを言っています。

まずは、子どもたちの心の声にみんなで耳を傾けてみませんか?