根粒菌、高校で生物を選択した方なら聞いたことのある名前でしょう。根粒菌はマメ科植物と共生する微生物です。どのように共生しているかというと、根粒菌は植物の根っこにちいさなコブのようなもの(=根粒)をつくって、その中に住みます。大豆などの農作物のほか、シロツメクサやカラスノエンドウなどの雑草もマメ科植物になるので、また散歩中にみかけたりしたら、根っこを引っこ抜いて確認してみてください。
さて、共生微生物ということは、根粒をつくることで植物と微生物の双方にメリットがあるということです。どんなメリットがあるのでしょう?
枝豆の栽培において窒素肥料は少なめで良いというのが、どんな園芸の本にも書いてあるかと思います。まさしくそれが、根粒を作るメリットです。根粒菌はマメ科植物にとって、窒素肥料を与えてくれる存在なのです。
どのようにして窒素肥料を与えてやるかというと、根粒菌は空気中の窒素を取り入れて窒素肥料に変換する能力があります(窒素固定能)。空気中にたくさんある窒素(78%)を植物の利用できるかたちに変えてくれるんですね。
一方、根粒菌にとっての根粒のメリットは、窒素肥料分を植物に与える代わりに植物から光合成で得た養分をもらったり、植物体内にいること自体が安全な住処となっています。
実はこういった共生関係は、根粒菌こそ根粒という目立つ形で存在していますが、ほとんどの生き物で微生物となんらかの共生関係を築いていると思っていいでしょう。面白いものについてはまた、いろいろ紹介したいと思います。
この根粒菌ですが、空気中の窒素を肥料に変えてくれるということで農業上の利用が期待されるわけですが、そのあたりはまた次回に書きたいと思います。