今回は、ストーリー的に少し展開がありました。普段はぐうたらで、競馬ばかりしている山岡が、海原雄山との直接対決の敗北をきっかけに、ついに「究極のメニューづくり」に火がつく。具体的には、競馬を辞める、という一幕がありました。
五巻の終わりの方の展開なので、次巻以降にどの程度影響があるのかはまだ分かりませんが、続きが気になるところです。
雄山との対決についても、前の四巻と比べるとボリュームが多かったです。
対決の中身も、分かりやすい対立軸というよりは、アプローチが違うだけで、二人は本質的には同じところを目指しているっていうのが、興味深いところです。
また、仲違っているとはいえ、本当はお互いを心の底では認めているような態度があって、雄山はあのように振舞っていますが、実は非常に大人な対決だと思っています。
数年前、雄山と士郎が和解したというのが、ネットでも話題になっていました。どのようにオチがつくのか、今から楽しみです。
エピソードごとの感想は下で
味噌の仕込み
工業製品と手作り味噌の違い。
工業化社会への批判、この手の権威への反発エピソードは結構久しぶりかも。
青竹の香り
スズキの調理法
パイ包み焼き スズキの旨味パイ生地に吸収
奉書焼き 鈴木の味紙に吸収紙はなにも与えない
青竹焼き 青竹からもらう竹のエキスを与える。
三つの調理法の比較というのは面白い。
技巧の極致
料理は芸術。一つの素材からさまざまな絵を見せてつくる。というのが雄山。
見た目の華やかさではなく、料理の本質を見失っているのではないかという士郎。
美味しいものに技巧を凝らすという意味では2人は同じ。雄山も士郎もら同じ道を歩んでいるのに認め合わないというのは面白い。
スパイスの秘密
人情ものです。ちょっとしたどんでん返しが面白い。
臭さの魅力
文化によって何を臭いと感じるかは違うという話。
度々登場する中国人の周さんの包容力
牛なべの味
すきやきやしゃぶしゃぶは肉食文化を自分の物にしていない頃の食べ物という指摘は面白い。肉の旨味を引き出せていない、と。
魯山人風のすき焼きを食べてみたい。
終わり方が良い。士郎を批判しながらも、良いものは良いと認めている。
サラダと美容
本当の野菜なら、ドレッシングかけてなくても美味しい。
それはそうだけど、毎日というわけにも行かないと思う。
もてなしの心
基本はご飯の炊き方とお味噌汁と言っただけで、あの怒られよう。
ご飯対決で決定的に敗北する。
しかしながら、クズ米除去とはさすがにそれは手間暇かけすぎな上にそこまで味の違いに現れるのだろうか。
鮮度とスピード
バイクの話と絡める。生牡蠣を鮮度よく届けるために暴走族の力を借りる。
初めて明確に雄山との関係性が前回から引き継がれている点が興味深い。