抗生物質生産の担い手・放線菌
本日より、新たなコーナーとして、微生物紹介記事をかいていこうと思います。
なぜ?微生物かというと、まずは私の大学時代の専攻が微生物の生態学だったこと。
微生物の面白さを紹介したいということ。農業の分野においては、微生物は病気と土壌を語る際に
不可欠な存在ということです。
微生物の面白さはなんと言っても、目に見えない彼らの働きが目に見える現象として表にあらわれていることです。
微生物を身近に感じてもらえるように、努力します。
さて、今回は私が大学のときに専攻していた、放線菌について紹介します。
放線菌っていうのは,細菌の仲間で原核生物です。原核生物ということは基本単細胞生物になるわけですが,放線菌の場合,単細胞でありながら細胞が連なって糸状の複雑な構造をとるのが特徴です。
この放線菌,身近なところではどこに居るのでしょう?
近くに土があったら手にとって匂いを嗅いでみてください。誰もが一度はかいたことのある,あの土の匂いが,放線菌に由来します。つまりは、多くの放線菌は土壌中に住んでいるってことですね。
この土の匂いの元となる物質のように、放線菌は様々な物質を生産します。
特に放線菌は抗生物質を生産することで有名です。
というか、はじめに抗生物質が見つかったから、放線菌研究が一気に進んだといっていいでしょう。
抗生物質ってなに?って人もいるかもしれません。
放線菌の中というとStreptomyces属菌が有名で、
特にStreptomyces griseusは、結核の特効薬ストレプトマイシンを生産することで多くの研究者が研究対象としました。
このストレプトマイシンのおかげで、結核患者は激減し、結核は猛威をふるっていた当時と違い
不治の病ではなくなったのです。
もしみなさん風邪をひかれてお医者さんに抗生物質を処方してもらうとき、放線菌を思い出してみてください。
なぜなら微生物から発見された抗生物質は約10,000存在し、そのうち2/3は放線菌に由来するのですから。