三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

農業分野の新しいつながり

  今農業の現場では,若手農業者を中心に新しい「つながり」を生む活動の動きがみられます。この新しい「つながり」とは,これまでの地域社会にみられた「地縁」や「血縁」に代わる,志をともにするもの同志の交流や連携であると感じています。

 そもそも農業というと,地域とかつながりという言葉を連想するのが一般的です。田植えの時期には地域の女性が早乙女の衣装を身にまとい,列に並んで一斉に手植えする農村風景,あるいは五穀豊穣を祈ったお祭り等の地域行事,こういった心象風景が,農業から地域社会の結びつきというものが連想される要因だと思います。

 しかしながら,現代においてはこうした連想は実情ではなくなってきます。農業が機械化・高度化され,農家は一人で作業する時間が増えました。農家は意外と孤独なのです。今,農村においてみられる風景は列に並んだ早乙女ではなくて,携帯音楽プレーヤーから延びるイヤホンを耳に当て,トラクターに載る農家の姿です。

 一方で,近年になって新しい動きが出てきたように感じています。有機農業を行う農家だけで集まった組織で消費者向けに農業体験やマルシェなども企画するような組織,農家のこせがれが集まって交流会やイベントを企画するNPO法人,農業の活性化を目的として,全国津々浦々から農家が集まって行われた農業イベント等です。最後に紹介した農業イベント(Agri-station Festival)は,普段は別々の経営を行っている農業者が目的を一つに集まり実行委員会を組織したのが特徴的です。これらの取組に共通するのは,それまでの地域や集落を単位とした組織活動ではなく,志を共にする仲間と行っている,ということです。

 地域社会の再生,そんな言葉が叫ばれて久しい昨今ですが,単純に昔は良かったとか過去を振り返るだけでなく,こうした以前のつながりに代わる「志」をベースにした新しい「つながり」の形を模索する。こういった視点が,農村社会だけでなく今の社会全体に必要なのではないかと考えています。