Whistle Life

食と農の話題を中心に、日々の雑感をつづります。

春の皿には苦味を盛れ

菜の花

 すっかり春らしく暖かくなってきました。春の味覚といえば、菜の花やフキノトウ、ワラビやゼンマイといった山菜類が思い浮かぶ方が多いと思います。よく実家に居る頃には父親が山にまで取りにいっていました。そのときこそあまり好きではなかったですが、この季節になると少し恋しくもなります。

さて、これらの春の野菜や山菜に共通するのはなんでしょう。

 

 苦味です。

 

 

 苦味=マズイイメージがあるかと思いますが、この特有のほろ苦さが癖になるんですね。また、この苦味があるおかげでおいしさだけでなく健康に良いとされています。タイトルにもあるように、春には苦い物を積極的に食べましょうという話になるわけですね。

 さて、この苦味の正体についてですが、インターネットなどで調べてみますと植物性のアルカロイドであるとされています。アルカロイドは、腎臓でのろ過作用が増強され、いわゆるデトックス作用があるといわれています。あと、体の新陳代謝を促すともされています。ってなわけでアルカロイド万歳!なわけなんです。

 しかし、この話には少し注意が必要です。

 実はこのアルカロイドというのは、ある特定の成分を指し示すものではなく、塩基性を示す有機化合物の総称で2000種類以上が発見されています。そしてこのアルカロイドおよびその苦味、なんのために存在するのでしょうか。とかく健康に良いとか人間側の視点で語られがちですが、実は植物からしたら、自分の身を守るために働く物質なのです。植物が自分の身を守る、ということは、周りの動物達にとっては「毒」ということです。

 有名なところでいくと水仙の葉っぱをニラと間違えて食べて起こす中毒、それはアルカロイドですし、タバコのニコチンだってそうです。

 考えてみれば最初に挙げた山菜たちだってちゃんとあく抜きしないと、そのままではアルカロイドの毒で食べられたものでないですね、一方であく抜きしすぎると風味が損なわれるわけです。

つまりはアルカロイド=万事OKでなくて適度な量が大事ってわけですね。

 

 

 ここでもうひとつの疑問。どうして春の野菜は苦いのか。それは山菜であるからです。例に挙げた菜花は、京都なんかでは伝統野菜にもなっており、農業の一経営品目として栽培されています。一方で山菜というのは自然に生えているものを食べている。これがミソです。というのも実は、いま当たり前のように食べているジャガイモやトマトだって、原種を辿れば、アルカロイドといった毒をもっていたのです。それを人間が毒の無いものに選抜による品種改良で現在の栽培品種まで解毒進化させてきたわけです。

 山菜類たちは自然に生えているものなので、植物の生存本能丸出しでアルカロイドを蓄積しているわけなんですね。

というわけで春というのは本当の意味で自然の素材そのものを味わう良い季節なのです。