ダンジョン飯。このマンガがすごい!でも話題になった本作。
ダンジョン飯は、ファンタジー作品で馴染みのあるモンスターたちを食材に料理するマンガです。
設定だけ聴くと、発想一発のコメディ漫画だと思われがちですが、この漫画は読み進めるごとに、ストーリーと世界観が非常に重厚な漫画であることに気付かされます。
毎回モンスターとそのモンスターを食材にして料理するという基本は一話完結なのですが、最近その枠を外れてどんどん展開していっております。
現在5巻まで刊行されていますが、最新巻の六巻がもうすぐ発売ということで、巻ごとに違う魅力を見せるこれまでの単行本を振り返りたいと思います。
多少のネタバレ含みます。
ギャグ漫画としての魅力が炸裂する1巻
みなさんのこの漫画に対する大方の予想通り、この漫画1巻は明確にギャグ漫画です。
まず、馴染みのあるモンスターを「食べる」という設定がまず面白い。このことはある種こういった「剣と魔法のファンタジー作品」コンテンツ群が成熟しているからこそなし得ることだと思います。
誰もがスライムというモンスターのことを知っているし、動く鎧も知っている。
その上でモンスターを、食べたらどうなるか?という部分でのギャップが面白い。
特に序盤は、ライオス・センシとマルシル・チルチャックの食べたいvs食べたくない反応が面白いです。自分の常識が他人にとっても常識とは限らない。そのズレを狙った笑いのツボを心得ていると思います。
特にマルシルのキノコのヤダーっていう反応と人食い植物の捕まえられてどうだった?に対する反応がおもしろかったです。
モンスターの作り込みがすごい2巻
単なるギャグ漫画でないことは、モンスター設定をかなり作りこんでいると、そこに作者独特の 解釈が含まれていることから徐々に気付かされていきます。
この漫画のテーマは「食」です。
「食」という生活のリアルを語っているからこそ、モンスターが実在にしていたら、というリアルさを追求する必要があるのだと思います。
動く鎧の動く原理。ミミックの生態。ゴーレム菜園。幽霊の魂と身体の関係。
RPGでは語られることのない裏設定に納得し、関心させられるのです。
物語世界の作り込みがすごい3巻
この漫画で語られていることはモンスターの生態だけではありません。
例えばダンジョンのあり方やパーティ編成。
RPGで当たり前に存在している仕組みについても独自の解釈のもと、ストーリーに組み込められているのです。
特にマルシルの学生時代のエピソードは興味深くみております。
ダンジョンの創造に現実の生態系的な考え方を適用するのには非常に興味深かったです。
新たなストーリーの流れを始める4巻
4巻では、ついに宿敵の炎竜との対決にのぞみます。
その対決自体も、勝ち方のロジックが通っていて、この作者はバトルの描き方の才能もあるんだと感服させられたわけです。
そしてこのあたりから一話完結と思われた構成から明らかに過去の話の伏線が回収されはじめ、さらに次の展開への謎を残すミステリアスな方向に進みます。
今後ますます次の展開から目が離せない漫画の一つになりました。
新キャラや過去キャラの再登場でよりストーリーに深みがました5巻
4巻からの続き。ようやく当初の目的、ファリンを助けるも、狂乱の魔術師の登場で色々と謎が深まります。ボンレスハムの扱いが笑える。
さらに、あの柴犬みたいな戦士がメンバーに居るパーティーが再登場したりするなど、点が線となって繋がり始めるなどますます先が気になる展開となっていきます。
最近控えめだった、ギャグも結構冴えてきていて、五巻はこれまでの集大成といっても良いかもしれません。
4巻からストーリーとしては大きな展開は無かったので、次に発売される6巻はどんな内容になるのか、さらに期待していきたいと思います。