三児の父はスキマ時間でカルチャーライフ

仕事も趣味も育児も妥協しない。週末菜園家が、三児の子どもたちを育てながら、家事と仕事のスキマ時間を創って、映画や農業で心豊かな生活を送るブログ

朝顔とメダカ水

 

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「レイちゃんの朝顔だけが青々としててびっくりした」


7歳になるレイちゃんが、夏休みの間だけ家に持ち帰っていた朝顔の花。

夏休みの宿題として定番の、毎日観察して、花が咲いたら記録をつけるというものでした。

私自身は仕事が忙しく、朝顔の様子をみる余裕はありませんでした。

だから、妻にそう言われても、朝顔がどうだったかも、はっきりと思い出せませんでした。

毎日のように、その朝顔の横を通っていたのに、人というのは意外に周りがみえていないものです。

いや、正当化するわけではないけど、みえていたとしても、レイちゃんの朝顔がよく成長していたかどうかなんてわからなかったと思います。

ほかの朝顔と比べられませんから。

 


妻も、レイちゃんの朝顔が、よそよりもよく成長していると気づいたのは、二学期がはじまって朝顔の鉢を学校に持っていた時のことでした。

妻に、そのことを言われた時は正直半身半疑でした。

朝顔なんて、日当たりや水の加減で成長に差がでるのは当たり前だと思ってたからです。

 


でも、妻の様子がおかしい。

取り憑かれたかのように朝顔の成長について、スマホで調べていたのです。

「そんなにも気になる?」

「だって、それくらい成長が違うから。 ほかの子のはもう枯れかかっているのに。レイちゃんのだけ生き生きしてるから気になって。」

 


そこまで、言われると私も気になりはじめます。

 


「農薬やったせいかな」

「うーむ」

 


実は我が家では、畑を借りて家庭菜園もしています。

その畑で使う農薬があったので、妻が学校の朝顔を育てるのに使っていたというのです。

 


確かに、他の子と栽培環境が違う部分となると、農薬になってきそうです。

それでも、農薬というのは虫がつくのを防ぐものです。

作物の生育に、そこまで差が出るのでしょうか? 

私はまだ、半身半疑の状態でした。

 


そこで、私は、朝顔を直接見に行くことにしました。

ちょうどその日は二学期はじまって最初の土曜日でした。

レイちゃんと一緒に学校に向かいます。

 


土曜日の学校、運良く(?)扉が開いていたので入ります。

レイちゃんに手を引かれ奥へと進んでいくと、それらしい朝顔の並びが見えてきました。

 


「あれが私のだよ」

レイちゃんが指さしたのは、一番奥の鉢でした。

 

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目を疑いました。

妻が言ったとおりでした。

レイちゃんの朝顔だけが生き生きとしていたのです。

 


他の朝顔たちは、もう夏の終わりを告げるかのように葉っぱは黄色くて、寿命を感じさせる姿になっています。

一方でレイちゃんの朝顔だけが、まだ夏真っ盛りを生きているかのように、葉っぱが青々としていたのです。レイちゃんの朝顔はまだ夏休みを過ごしていたのです。

 


確かに妻が原因を調べたがるのも、うなずけます。

繰り返しますが、レイちゃんの朝顔「だけ」なんです。

それもはっきりとした違いです。

偶然では片付けることのできない決定的な差があったのです。

 


急いで家に帰って報告します。

妻ともう一度、その原因について、議論しました。

 


確かに、今となっては農薬というのは、可能性としてはあるかもしれません。

他の家の朝顔との違いといえば、それくらいでしたから。

でも、どうも納得がいきません。

農薬一つで、成長にここまで差がでるものか、と信じることが出来なかったのです。

 


ふたりで、うーん、うーん、唸っていると妻が一言つぶやきます。

 


「メダカ 水」かな。

 


「……それだ」

答えがわかったきがしました。

 


朝顔の水やりのとき、妻はメダカの水換えのために、水槽の水を鉢に与えていました。

 


我が家では何年か前から、メダカ を飼っています。

メダカ というのは、産んだ卵を、親メダカ のいる水槽から保護する必要があります。

放っておくと、親メダカが卵を食べてしまうからです。

妻は、それに耐えられなかったので、メダカ が卵を産むのにあわせて、新しい飼育スペースを用意していました。メダカ がどんどん卵をうむので、それにあわせて屋外にタライを用意し、そこでメダカ を飼育していたのです。

 


そうして、どんどんメダカ の数は増え、今ではタライ3つ分です。

 


タライで育てているので、水を浄化させる意味も含めて、定期的に水を入れ換えているわけです。

その際のメダカ のタライの水を朝顔にあげていたわけです。

 


実はこのメダカ水、ただの水とは違います。

メダカ を飼育する水槽では、当然メダカ のご飯の食べ残しや、メダカ のフンが含まれています。

その水は、ちょっと濁った水になります。

これが植物にとってはよい栄養分になるわけです。

 


自然の循環を思い出してください。

子ども科学教室で子ども達が質問します。

 


野生の動物のうんこが、溜まっていったらどうなるの?

溜まらない、が正解です。

土の中にいる、微生物が分解して植物の栄養分になります。

 


それと同じことが我が家の朝顔でも起きていました。

メダカのフンがたっぷり入った栄養水をいいタイミングで入っていたのです。

 


江戸時代の農業は循環型と言われています。

それは街中で出た、人間の糞尿を郊外の田畑に持ち出し、肥やしにしていたからです。

そんな環境保全型農業の見本となるような、農業がこの我が家でも行われていました。

 


これは結構自分の中では発見です。

おそらく朝顔はどんなご家庭でも小学校で育てると思います。

メダカの飼育と合わせて、朝顔を育てれば、一種の環境教育にもなるのではないでしょうか?

 


メダカのフンだろうと生き物の資源に無駄なものはありません。

そんなことを学校の中庭に一つ青々と輝くレイちゃんの朝顔を見ながら思うのでした。